飼い主またはご主人様

だらく@らくだ

旅立ち

「気をつけてね……」

母親の声は震えていた

そりゃ仕方ないさ、旅立ちだもの


やあ、僕の名は「イムラ・ミリン」、二十に

なったばかりの新米冒険者だよ! スキルは捕獲だけだし父親はずっと行方不明だけど何とかなるっしょ!


と、言ってるそばからモンスター発見

あれは……多分レオナかな?

よし!捕獲しよう


場所はいつの間にか森の奥地だった。

木の無いエリアにレオナが一匹……捕まえても役には立たなそうだけど最初なら仕方ない


「そりゃ!」

僕は透明な糸をレオナに向かって投げた、

しかし、その時風が吹いてしまって

視界からレオナは消えた……


「失敗したか……まあこの先にもモンスターはいるしな」

僕はとりあえず笑った。肩に何か乗ってる事も知らずに


《ガブッ》


「いっっだあああぁあ!!!」


う、腕を何かが噛み付いた!?まさか

嫌な予感と共に左腕を慌てて見ると、そこにはしっかりとさっきのレオナが噛み付いていた


「い、いだい!はなせ!この!」

腕を振っても振ってもレオナは離れない、

どうやら牙が皮膚にくい込んでいるらしい

冒険初日どころか数時間でこんな事になるかよ普通!くっそ〜!


「離れなさい!ケダモノが!」


あれ……?痛みが突如、消えた?てか誰かが

俺の手を掴んでいる感覚が


わ、


わぁ?!


思わず驚きの声を上げてしまった。

僕の手を掴んでいたのはとてつも無い美形の大男だったからだ


「ダメです、暴れちゃ。まだ消毒が終わって無いのに」

「あ、ああ……」


どうやら助けてくれるらしいので、噛まれた方の腕を差し出した。彼はその腕に優しく消毒液を塗り、包帯を巻いた


「これで大丈夫です。染みましたか?」

「いや、全然!大丈夫!」


本当は染みて、痛かったけど、初対面の人にそれは言えなかった。ましてやこんな美形の

人に


ふと、脳内に一つ案が浮かんだ。そうだ、この美形の方を仲間にすればこの先の冒険が楽しくなるんじゃ無いかと


そして、僕は彼の手を強く握り、言った

「僕の仲間になってくれないか」と


すると、彼はぽかんと口を開けてしばらく、

黙った。そりゃそうだよな


「ふっ」

「え?笑った?」

「ご主人様、面白いこと言いますね。仲間じゃ無くて主上関係ですよ〜」

「??」


主上関係?ご主人様?何だ?意味が分からない。変だ、何か変である


「もしかして……気づいて無い感じですか?」

「な、何が?」

「ステータスボードを見ればわかりますよ」


言われるがまま、僕はステータスボードの

捕獲済みモンスター欄を見た。そこには


【捕獲済みモンスター

名前 ユーグレイナ・ミサ


HP 不明

スキル 不明


好感度 不明 】



とあった


「つまりこれって……」

「そういう事です。これからよろしくお願いしますね、ご主人様!」


なんてこった、僕は|兎【レオナ】を捕まえるはずが、人間を捕獲してしまったらしい

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