第3話 きみが世界のすべてなら





「あの角を曲がるまで」と差し出した 手のひら 指でたどる悪戯


 点と点 結んで星座になるような生産性がなきゃダメなのか?

 

 肩が触れる近さで歩く夜の道「月が綺麗、」と言いかけてやめた 


 教科書のフォントのようにまっすぐな肢体くねらす深夜のきみは


 寒いね、と言えば「どうぞ」とポケットへ連れて行かれたらもう帰れない

 

 薬指にはめられなくとも贈りたい きみのに映る夜空の宝石


 きみのいない部屋はなんだか真っ白で「ただいま、」と一言 色づけてみる 


 修正のきかぬ言葉が波のよに 寄せては返す 後悔つれて


 何者にもなれない僕を慈しむ きみが世界のすべてならいい


 息しづらいこの世なれどもキッチンに並んで立つよにきみといきたい



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

きみが世界のすべてなら boly @boly

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ