故郷

 ときどき帰ってくるホームタウンのようになりつつあるこの場所で、かつて追っていた作家さんの新作を読んでみると、作風が変わっていなかったりして……不思議。

 少しずつ、でも確かに、時代が移り変わるうちに気がついたら己も変わっていて、生まれる作品も変わる。いやそうでもないのか?

 自分の過去作を見返せば修正したくなってしまってキリがない。どうにもならないほどの修正箇所を発見して削除したことは、いったい何度あったか。ざっと数えても5作はある。だから私は、古い拙作は読まない。今は「拙作」なんて謙遜したくなくても、いつか「拙作」と言うようになる。

 どうやら随分昔に読み始めた作品が完結したらしく、しかし文字数を見れば本1冊作れる量だ。変わるも変わらないも私には関係ない。読み終わるより前に他事に手を出す未来が目に浮かぶが……これまた不思議。一向に飽きがこないものごともある。その人にとっての飽きないことが、作品を書くことなのだろう。

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塵専用宝箱 紫田 夏来 @Natsuki_Shida

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