第4話 子どもなわたしでも良い?

「ささどうぞ! 遠慮せずお上がりください!」


 あ、お邪魔します。


「じゃあ、大樹は先にわたしの部屋に上がってて欲しい。ちょっと準備するから」


 うん、じゃあ先にうみの部屋にお邪魔してるね。


「――――ど、どうしたの? 急にわたしのこと見て……。は、恥ずかしいからあまり見つめないで……」


 いや、今日もうみは可愛いなって。


「〜〜〜〜〜っ!? も、もうすぐにそういうこと言うんだから……。は、早く上に上がって! これ以上はわたしがボンッ! するから!」


 ボンッ! するって……。

面白い表現だね。


「良いから早く上がって!」


 はいはい。









◇◇◇









 さて……まあまあ時間がかかっている様子だけど、一体何があるんだろう?

新たな遊び道具を持ってるけど結構大掛かりなものなのかな?


『大樹いるよね? は、入るよ?』


 うん、入っても大丈夫だよ。


『じゃ、じゃあ入るね……』


 うん――――!?

な、何その格好!?


「えっと……これがもう一つのわたしの隠し事なんだけど……」


 えっと……何で小学生の格好?

てか、手にいっぱい衣装やらいっぱい入ってる?


「う、うん。どう? 似合ってる?」


 う、うん!

あれ、僕ロリコンじゃないのに……何でドキドキしてるんだろう?


「――――」


 えっと、うみ?


「な、何?」


 似合いすぎる、かも……。


「――――!? そう言われたら嬉しいような嬉しくないような……」


 嬉しいで捉えて良いんじゃないかな?


「でもこれで喜んだから、わたし小学生みたいに成長してないってことになっちゃう……」


 ――――!

た、確かに!

これってどう評価すれば良いんだろう……。

似合ってるって言ったらあれだし、逆に……あれ、よく分からなくなってきちゃったよおおおお!!!!!


「大樹落ち着いてっ! 似合ってるか似合ってないかって言われたらどう思う!?」


 似合ってます!

まるで天使です!


「あ、ありがとう……」


 はあ、はあ……。

思わず混乱しちゃったよ。


「気持ちは分かる。じゃあこの格好は流石に限界だから次のに着替えてくるね」


 分かった。

なるほど、これはコスプレのファッションショーが開催されたってことか。

面白くなってきた!

じゃあ、とことん厳しく評価しないとね!


『じゃ、じゃあ次行くね』


 早ッ!

ど、どうぞ!


「お、おかえりなさいませ! ご主人さま!」


 ――――!

こ、これは……!

男子がいやらしい意味で興奮してしまう衣装、メイドさんではないですかっ!


「そ、そう! 今度はメイドさんになってみたよ! ど、どう? 似合う?」


 うみ、僕は……今にも鼻血が出てしまいそうになってるよ。

何でかなぁ、うみの頭の上にエンジェルリングが乗ってる。


「それって天使になっちゃってない!? 違うよ大樹! メイドさん!」


 じゃ、じゃあ!

僕一回聞いてみたかった言葉あるから言ってもらっても良い?


「何?」


 『萌え萌えキュン!』やって欲しい!

一生のお願い!


「一生のお願い!? それもうやるしかないじゃん……。う〜、分かった! 大樹の要望にお答えしましょう!」


 ヤッター!


「じゃあ行くよ? 大樹、萌え萌えキュンッ!」


 あっ……天使女神だ。


「大樹!?」









◇◇◇










「もう、心配させないで! 本当に倒れたと思ったじゃん!」


 ご、ごめんね……。

本当にうみのコスプレが似合いすぎて……。


「――――大樹、うみって実はこんな感じの女なの。ダメだよね、キモオタって感じで……。しかも子どもみたいな遊びのことばっかり考えて……」


 うみ、勘違いしないで。


「えっ?」


 確かに世間一般的に考えたらキモオタみたいで気持ちが悪いって思われるかもしれない。

でも、人の趣味は色んな物があるでしょ?

ギターもそうだし、絵を描くのもそうだよね。


「うん」


 でも、これはあくまで僕の考えだから何とも言えないけど……人の趣味って全部オタクだと思ってる。


「――――!」


 例えば……うみみたいにコスプレが趣味にしてる人って結構いるよね。

SNSでも、それを趣味にして投稿してる人も結構見る。


「うん」


 それってもともとはアニメの影響とか、そもそもコスプレっていうものに興味を持って始めたって言う人も多いと思うんだ。

趣味って本当に好きにならないと出来ないって思ってるから、結局はオタクと変わらないなって。

だから、趣味を持ってる人はみんなオタク。

だから、うみも恥ずかしがらずに堂々とやって良いと思う!


「で、でも恥ずかしいよ……」


 じゃあ、せめて僕には見せて!

僕は結構うみのコスプレ好きだよ!

てか、僕の好みにどストライクなんだよね。


「そ、そうなの!? こんな子どもみたいなわたしでも良いの?」


 うん!


「――――! な、なら大樹にはちゃんと見せる! ちょっと待ってて!」


 えっ?

急にどうしちゃったんだろう?

なんか……さっきより張り切ってる感じがしたような。


『はい! 準備終わったから入るね!』


 やっぱり早ッ!

どうぞー。


「し、失礼します……!」


 ――――!?


「ど、どう?」


 えっと……まさかその子どもっぽいフリフリな水着でプールに入ったりするのはないよね?


「そ、それは絶対しないから! ここ専用の水着だから!」


 しっかしまあ……やっぱりうみって子どもっぽい格好似合うね。


「うー……嬉しいような嬉しくないような……。やっぱり体型の問題なのかな……。確かにわたし身長小さいし、それに胸も小さいし……」


 ――――どう反応したら良いんだろう?


「わーごめんね! 男の子が答えづらいこと言っちゃった!」


 やっぱり僕ってロリコンなのかなー。


「わー! 本当にごめんね大樹!」


 えっと……とりあえず普段着に着替えてもらっても良い?


「えっ?」


 あの……うみが可愛すぎて、直視できないから……!


「〜〜〜〜〜っ! う、うん。じゃあ着替えてくるね」










◇◇◇









「ご、ごめんね大樹。嬉しかったあまり調子乗っちゃった……」


 いや、大丈夫だよ。

ちょっと驚いちゃっただけだから。


「う、うん……。ねえ大樹」


 ん?


「わたし、自分の趣味のこと褒めてくれたの大樹が初めてだったの。親はこれを見たら引かれるの。まあ、当たり前だけどね。だけど、大樹に可愛いって言ってくれて凄い嬉しかった! だから、ありがとう!」


 うみ……。

うん、またコスプレファッションショーやろう!

結構楽しかったから!


「うん! またやりたい! わたしも楽しかった! 大樹大好き!」


 うわっ!?

きゅ、急に抱きつかれたら恥ずかしいって……。


「もうわたしの気持ちは止められないよ? だから大樹が恥ずかしくなっても抱きつくからね!」


 〜〜〜〜〜っ!

ま、まあ……僕は嬉しいから良いけど。


「〜〜〜〜〜!」


 ねえ、一回だけ……キスしても良い?


「うん、良いよ」


 じゃあ……ん。


「ん……。えへへ〜」


 ね、猫みたいに懐いてきた……。

うみ、僕もうみのこと大好きだよ。

これからもよろしくね。


「うん! これからもよろしくお願いします!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編】構ってください先輩 うまチャン @issu18

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ