第3話 構ってください先輩2
「先輩出来ました。これでどうでしょうか?」
どれどれ……。
――――うん、結構良いね!
だいぶ腕戻してきたんじゃない?
「はい、先輩のおかげですね。それに、週に3日も長い時間イラストを描けるのでコツもだいぶ掴んできた気がします」
僕のおかげじゃなくて、船田がずっと頑張ってきたからだよ!
最近の船田のイラストを見てるとコツを掴んできたなってすごい感じるよ。
「いえ、わたしは腕を戻してきた一番のきっかけは先輩です。再びわたしの趣味を掘り出してくれた。それに感謝しているんです」
そ、そう。
それなら嬉しい。
「じゃあ、早速遊びましょうか!」
うん!
今日はどんなゲーム?
「今日はですね……これです!」
これは……お金ガッポガポゲームだ!
久しぶりに見た!
「はい! 今日はこれをやって行きましょう!」
◇◇◇
「今度はわたしの番ですね。えっと、7ですね。1,2,3,4,5,6,7っと。えーっと……あ、結婚したんですね。なので先輩、3000ください」
意外と3000って高いよね……。
僕の職業サラリーマンだから3000は重たい……。
船田は良いよね〜。
弁護士だもんね。
「このゲームで一番強い職業が弁護士ですからね。ラッキーです」
羨ましい……。
「――――そういえば、今疑問に思ったことがあるんですが……先輩に聞いてみても良いですか?」
うん、どうしたの?
「今わたしのコマは結婚したってところに止まっているんですが、実際に結婚したらどんな感じなんでしょうか?」
それは現実でってこと?
「はい、わたしは男の人を好きになったことがありません。でも、最近ちょっと複雑な感情になる時があるんです。あの時、先輩は言ってましたよね。人は恋をすると心臓が持たなくなるくらいにドキドキして、落ち着いていられなくなって、好きな人の傍にずっと居たくなるって。最近、わたしもそう思う時が多くなった気がするんです」
――――!?
そうなの!?
船田にもついに青春が訪れたんだね!
ち、ちなみに誰が好き――――いや、そこは突っ込まないほうが良いね。
「何でですか?」
だって、好きな人がいるけど言いたくないって言う人が結構いるって聞いたことあったから……。
僕はラブコメ漫画を描いているから、そういう話は積極的に聞いてみたりするんだよ。
「なるほど、そうだったんですか。わたしは別に良いので教えます。あ、でもその前に……先輩のコマが結婚するっていうところに着くのが先です。そこに着いたら教えます」
わかった。
次は僕の番だね。
――――えっと、5!
1,2,3,4,5!
あ、僕も結婚したんだって!
「さっき先輩からもらった3000が行ってしまいました……。じゃあ、お話しましょう。わたしが人生で初めて恋をした相手を……」
……。
「それは……この人です」
この人……って僕!?
え、ええ!?
「わたしは先輩が好きです。先輩と一緒に居ると、ずっと傍にいたいって思うようになったんです。もちろん心臓はドキドキしているし落ち着いていられないです。今にでも先輩に飛びつきたいくらいに」
……。
「――――? やっほー、先輩聞いてますか?」
も、もちろん聞いてるよ!
その……結構いまびっくりしてるから頭が回ってないだけだから……。
えっと……僕で良いの?
僕よりもっと良い人いるはずなのに……。
「先輩、もしかして知らないんですか?」
な、何が?
「先輩って、結構女子たちからモテてること」
えっ、そうなの!?
全然知らなかった……。
「先輩は鈍感なんですね。先輩はかっこいいんですよ。見た目も良いし、性格も優しい。そんなの女子からモテないわけないじゃないですか。まあ、わたしも先輩の虜になってしまった1人ですけど……。もう、ずっと心の中で抑え込むのはやめます。先輩、わたしは先輩のことが好きです。だから、わたしと付き合ってくれませんか?」
船田……。
僕は普段からラブコメ漫画を描いているオタクだよ?
そんな僕と付き合っても……。
「何を言っているんですか先輩。わたしだってイラストばっかり書いてるオタクですよ。わたしだって先輩と付き合っても大丈夫なのかと微かに思っていますから」
――――船田、僕も船田のことが好きです。
だから、よろしくお願いします!
「――――ほ、本当ですか! う、嘘じゃないんですよね?」
嘘でもなんでもないよ。
僕は船田と付き合いたいんだ!
「せ、先輩……! 先輩!」
えっ、急に泣いて……うわっ!?
「だってぇ……嬉しいんです! 先輩と付き合えることが。ずっと、中学の時から」
えっ、そんなに前からなの?
「はい」
そうだったんだ……。
でも、これからはずっと僕が船田の傍にいるから。
もう、胸の中で抑え込まなくても良いから。
「先輩……! じゃあ、もうわたしは先輩に対する想いをぶつけても良いんですね?」
うん、良いよ。
「じゃ、じゃあ早速お願いがあるんですけど良いですか?」
良いよ。
何?
「まず1つ目、わたしはもう先輩って呼びません。敬語も使いたくありません。先輩のことはちゃんと名前で呼びたいですし、タメ語で話したいんですが……良いですか?」
うん!
なら、僕も船田のことを船田って呼ぶのはやめる。
ちゃんと『うみ』って呼ぶよ。
「一回わたしの名前を呼んでもらっても良いですか?」
えっと……うみ。
「〜〜〜〜〜!? け、結構恥ずかしいですね……」
ほら、敬語になってるよ。
タメ語で話すんじゃないの?
「せ、急かさないでくださいよ先輩……。意外と勇気いるんですから……。えっと……た、
〜〜〜〜〜っ!?
え、えっと……確かに恥ずかしいねこれ……。
「だ、だよ……ね」
待って待って!
呼ばれた後のタメ口は凄すぎる!
待って、僕の心臓持たないかも……。
「じゃあ、もう一つだけお願いが……」
な、なに?
「その、わたしを抱きしめて欲しい!」
――――!?
ぼ、僕の心臓持つかな……?
じゃ、じゃあ……おいで。
「じゃ、じゃあ失礼します……」
――――
「――――先輩、じゃなかった。大樹の体温かい……。すごい安心する」
うみも温かい……。
じゃあ、ちょっとだけ悪戯しちゃうね。
「えっ……?」
……。
「〜〜〜〜〜っ!?」
あはは、うみのほっぺにキスしちゃった。
そんなに顔赤くして、うみは可愛いね。
「そ、そんなこと言われたら恥ずかしい……。じゃあ、わたしもお返し!」
ん!?
「ん……。えへへ、わたしはほっぺじゃなくて唇でしちゃった。 これで倍返し」
全く……。
てか、タメ口で話すうみって結構良いかも……。
僕の好きなタイプどストライクかもしれない。
「あ、ああ、ありがとう……。た、タイプだなんて……嬉しいけど恥ずかしいよ!」
あ、あれ?
だんだんと、うみの話し方が変わってきてるような?
「はうっ!? そ、そうなの。わたしはいつもこんな話し方をしてるの……」
そ、そうなんだ。
うみって言い方悪くなっちゃうけど、暗い雰囲気があるし律儀だからそんな話し方をするなんて想像してなかったよ。
「だ、ダメなの……?」
ダメじゃないよ!
逆に、良い!
「た、大樹! じゃあもう大樹にはわたしの本来の話し方で話すね! あ、ということは、わたしの本性をバラしても良いってことだもんね」
えっ?
ほ、本性?
ま、まさか……本当は僕のことが好きじゃないとか……。
「それは絶対にないから安心して! そうじゃなくてね、その……これを言ったら大体の人は引くんだよね……」
僕は大丈夫だよ。
「なら、ちゃんと話すね。わたし実はね……小さい子どもが遊ぶような遊びをするのが好きなの」
うん、知ってるよ?
だって、この間玉入れゲームやってたもんね。
「――――! そ、そういえばそうだった……。でも、その時にしかやらなかったよね?」
それはそうだけど、でもすぐにわかったよ。
うみは遊ぶことが好きなんだなって。
最初はびっくりしたけどね。
「もうバレてたんだ……。じゃあ、もう隠すことはないってことね」
そうだね。
でも、僕はもっとうみのことが知りたい。
僕は、その……うみの彼氏だから、うみのこともっと知っていかないとなって思ってるから。
「〜〜〜〜〜っ! そういうところがずるいと思う……。じゃあ、今度からわたしの遊びに付き合って欲しい! って、言っても難しいよね……」
そんなことないよ。
明日またうみの家でやろう!
「あ、明日!? は、早くない!?」
言ったでしょ?
僕はうみのこと、もっと知りたいって。
だから、うみが子どもが遊ぶような遊びが好きでも僕はちゃんと受け止めるから心配しないで。
「大樹……! うん! じゃあ、また明日もここで遊ぼう!」
うん!
「でも……あ、もう1つ隠し事があるの」
ん?
なに?
「いや、これは当日見てもらったほうが面白いかもしれない。だから内緒」
――――!
うみ、そのままの格好でいてもらっても良い?
今から写真撮る。
「――――っ!? や、やめて! 恥ずかしいから!」
いや、これは撮らないといけないって僕の本能が言ってるから撮らしてください!
「うう……分かった……。こ、こうでいい? な、内緒だよ?」
――――テイク2ありがとうございました!
「は、恥ずかしいよ〜!」
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