第3話 知ってた人間だもの

罪を忘れたらそれは罪ではなくなる

それが日本の法律である

罪には認識力が存在する

罪を認知していなければ罪ではない

罪とは自覚がある時に発生する事象なのだ


「雪乃先生、また本に没頭しているんですか?」

「あなたこそどうなの生き甲斐のあるものはあるの?」

「そうですね、あるとしたら先生と講義をすることでしょうか」

「あなたって本当抜け目ないはね」

「いやいやそれってどういう意味ですか」

「あら、あなたの首の上のそれは脂肪なのかしら」

「はいはい、先生の憩いの時間を邪魔してすいません、可愛げないんだから..」

「聞こえてるわよ、私が可愛くないのは、私が異世界人だからよ」

「なんですかその見解」

「事実よ」

「そんな嘘を信じ込ませても利益ないですよ」

「あら、あるわよ、私を新種として学会に売り出せば、それはそれは儲かるわよ」

「いや、そこまでの行動力ありませんし、そもそも人間ですよね」

「あなたはいつから、人間と異世界人を見分けることができるようになったの」

「いや異世界人なんていませんから」

「夢がないのね」

「先生はロマンチストなんですか?」

「いいえ、違う、異世界人よ」

「なんだかめんどくさくなってきました」

「あなたは嘘を探るこを覚えなさい」

「それって意味あるんですか」

「あるは、面白いもの」

「なんですかその小学生みたいなノリは」

「嘘ほど練られているの、それを堪能しないなんて、もったいないわ」

「じゃあ異世界人の雪乃先生、どうしてここ地球へ来たのですか」

「本がいっぱいあるからよ」

「そうですか、いや、普通ですね」

「何よ、まさか侵略でもして欲しかったの?」

「いやもっと驚く回答があるのかと思いまして」

「だって人間だもの」

「ですよねー」

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独学の二人 未帰 @tare1x

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