床に伏せど極彩色

蒼天 隼輝

床に伏せど極彩色

日が過ぎた 予定表の字 黒の中 仄かなる赤 ハイテックかな


薄紅の 布団カバーに 花が舞う 実物の花を 見たのはいつか


見渡すと 部屋には赤い 物がない だから異物か 処方箋の朱


黎明時 橙に恒星が燃ゆ 狂った体内時計の恩恵


動かねば ならない時に 瓶を取る 命の前借り 蛍光イエロー


体調を 気にして皿に 黄緑を 盛っては見たが レタスオンリー


枕元 視界に入る 唯一の 緑に生無し ティファニーランプ


茶菓子にと 食む淡緑の 琥珀糖 行けない海の ガラスを想う


電球色 奪って輝く 万華鏡 濃い青緑に ベッドが沈む


ベランダの 隙間に覗く 天色で ここ最近の 酷暑を知った


藍混じり 斜陽尖らす サンキャッチャー 床に伏す目へ 時告ぐ暴力


洗面台 フレグランスの 球の影 そこにだけ咲く ラベンダー有


青の波紋 原色で赤と 緑色 騒がしきかな 閃輝暗点


記憶より 淡き色した 虹の波 通院途中のアスファルトにて



歪にも 白く穴開く 掌を 眺めて思う 薬が多い


5時間後 告げる銀針 正しいが 横になれども 痛み変わらず


月下にて 視界の縁に 小粒の火 メレーのダイヤブローチ放置


昼下がり 微熱に茹だり 沈黙し ただ氷色の ピアノの音を聴く




ガラスペン 添えたインクは 冬の灰 蓋開けぬ今は 新月の色


消灯し 鉄紺色の 部屋の中 明日は動けと 怨叉を己に




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床に伏せど極彩色 蒼天 隼輝 @S_Souten

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