矢入えいど

名も知らぬ草木に集う雌蜂かな


扇風機取れたボタンに氷砂糖


白繭にうっすらと影見えにけり


ぽくぽくと木魚が泳ぐ長廊下


五月雨や流れ出したる我を見る


金魚玉薄グリーンの冷たさよ


雲の峰そっと友の訃知りぬ昼


卵割る音吸い込んで夏の空


穏やかな散歩日和や鮎跳ねる


夏座敷ぱたと遮る黒しっぽ


万緑や吹き抜けて墓石を撫でる


水茄子の表面叩く吾子の声


真っ白な路擲弾の蝉の腹


炎天の密室破るストレート


心太つよき光を蒐めたる


蜻蛉や電線の間のコンバイン


野良猫の爛々たるや施餓鬼棚


道草を燻らす先の鰯雲


後ろ髪糾う糸は曼珠沙華


宵闇やクロスワードに空いたマス



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矢入えいど @aid_fastyomimon

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