地球最後の日もドライブを
陽澄すずめ
地球最後の日もドライブを
エンジンの回転数も覚束ない借り物めいた心とからだ
クラクション鳴らすわけでもなく単にひとり悪態つくだけの日々
ホテル代ケチって沈む助手席は車内灯のヒビがよく見える
「交差点過ぎたら」「コンビニ過ぎたら」先のばしする車線変更
今日もまたその場しのぎで通過する私を感知してよオービス
パーキング見つけられずにぐるぐると二酸化炭素を吐きつづけてる
エンプティマークの見えない人たちが燃費の話ばかりしている
進むことも戻ることもできなくて乱反射したハザードランプ
ブレーキとアクセルを踏み間違えて自分ちの壁やぶるみたいな
窓から窓へぬける風しみついた煙草のにおい吹き飛ばしてく
レギュラー満タンカードで払いますクーポン持ってません人生
腹が鳴る運転席の窓ごしに行きかう0円スマイルたち
この空き地なにがあったところだった?ドーナツの穴みたいな記憶
歩行者と対向車両と自転車と刺客ばかりで死角ばかりだ
いつできたのかも知らない、いつまでもそのままにしている、擦過傷
「約束の時間、飛ばせば間にあうよ」空っぽの後部座席の声
肝心の最後を教えてくれないね案内終了その後のことを
虹の橋この国道を右折してどこか行っちまえたらいいけど
水滴を右へ左へふりわけて黄信号すら露わにしてよ
雨の日も雷の日も晴れの日も地球最後の日もドライブを
地球最後の日もドライブを 陽澄すずめ @cool_apple_moon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます