没作品C
僕の祖父母の家の近所には神様を自称するお姉さんが住んでいた。小学生の頃よく僕は父方の祖父母の家に預けられていて夏休みの半分は祖父母の家だった。
「キミは人の子かい?」
初めて会ったときお姉さんが僕に言った一言だ。その言葉はなぜかずっと僕の中に残っていて印象的だったという言葉がふさわしいのだろうか...今でも理由はわからなかった。
初めて会ったときこそ、いきなり「人の子かい?」なんて聞かれておかしい人だと思ったけども話してみればいい人だった。いつも神様のおとぎ話をしてくれていた。学校で聞いたことあるような話や聞いたことない話、その全てが新鮮で小学生の僕には興味深くてワクワクしていた。
ある日、僕はお姉さんにこう言った。
「ねぇねぇお姉さん」
「ん~どうしたの?」
「なんで、お姉さんはいつもここにいるの?」
「急にどうしてそんなことを聞くんだい?」
「だって、おじいちゃんとおばあちゃんにお姉さんの話するとね、ここは空き家だって言うんだよ?おかしいよね」
「それは確かにおかしいね~」
「だからさ、なんでお姉さんはいつもここにいるの?」
我ながらよくわからない質問をしたと今は思うだけど小学生の僕にとってそれが正しいと思ってたんだろうきっと。
「それはね~お姉さんが神様だからだよ~」
「かみさま?」
「そう神様、そうだ!!次の神様に君を推薦するよ」
「すいせん?...次のかみさま?ボクが?」
「そうそう、キミが神様、今キミが10歳だから8年後の今日までにキミに好きな人ができなかったらキミを神様にする‼できちゃったら...その時考えることにするよ」
お姉さんはそう言って僕の頭を撫でた。僕はうれしかった。お父さんもお母さんも一度も僕の頭を撫でてくれなかったから。
「約束ね」
そう言って、ゆびきりげんまんを僕はお姉さんとした。
「「ゆびきりげんまん♪」」
「「うそついたら♪」」
「「はりせんぼんの~ます♪」」
「「ゆびきった♪」」
そうして、その年の僕の夏休みは終わった。
次の年に僕は期待をして隣の家に行ったが、お姉さんはいなかった。
その年を境に僕はお姉さんを見なくなり、いつの間にか僕も祖父母の家に行くのはやめた。
趣味で書いてたワンシーン 大犬 @0GINGA0
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