第50話.イーリスの遺跡⑩
「もしかして、これって……イーリスの
ティトは驚きを隠せないといったように目を見開いて、
「ランジュール?」
はじめて聞く言葉に、ルイスは首を傾げた。
「はい。魔女イーリスの最高傑作とも言われ、世界に数えるほどしか存在しないとされている魔法道具です。空間魔法の
「
「あれは、空間魔法により袋の中の空間を拡張して、通常よりも多くの物が入るようにしたものです。イーリスの
ティトは、興奮したように尻尾を高くあげて熱っぽく語る。それを聞いてルイスも、その価値が分かったのか興味を示した。
「そいつは、すげぇな。それで、使えるのか?」
「どうでしょう。まだ、
ルイスが黙って頷くと、ティトはかすかに震える手で、銀の
幅が1センチに満たないほどの細い
外側だけでなく、内側にもびっしりと魔術式が刻まれている。ティトが
その中で、いくつか理解できる魔術式や言葉を見つけた。
「どうやら、ほんとうに本物かもしれません。試してみていいですか?」
「危険がないなら」
「大丈夫だと思います」
そう言うと、ティトは少しルイスから離れて、銀の
『ウヴェール』
ティトは
すると、ヴォンという空気を震わすような音がして、目の前の空間が
「おわっ、なんだこれ?」
突然現れた黒い箱にルイスは飛び退いた。
「これが、
ティトは熱い視線で目の前の黒い箱を覗き込みながら、興奮を隠せないでいた。まくし立てるように言葉を重ねるティトに、ルイスは若干引き気味に苦笑を浮かべる。
「すごいです。何百年も前のものなのに、まったく
「ティト、嬉しい気持ちは分かるが今はアミーラを助け出すのが先だ。その
「はい。もちろんです。そうだ! 兄さん、ここにある魔法道具もこの中に入れて持って帰っていいですか?」
「ああ、いいけど。急げよ」
ルイスは、ちょっとだけ呆れた顔をしたが、それでもティトを手伝って、いくつかの魔法道具を黒い箱の中に収める。
ティトが先ほど見つけた、ダークブラウンのフード付きローブも一緒に詰め込んだところで、あらかためぼしい物は箱に入れたはずだ。
と言っても、
そのため、
『フェルメ』
再びティトがキーワードを唱えると、その黒い箱は、出現した時と同じ様にヴォンという空気を震わせるような音を残して、虚空に消える。
「消えちまった」
「大丈夫です。どういう仕組みになっているのかは分かりませんが、この魔法道具があればいつでも呼び出すことが出来ます」
ぼそっとつぶやいたルイスの言葉を拾って、ティトが説明する。
「それに、どうやればいいのかまだ分かりませんが、先ほどの黒い箱みたいなのを出現させなくても、道具だけ出し入れ出来るという話を聞いたことがあります」
「それはいいな。それが出来るようになれば、その長くて嵩張る
「はい。そうです!」
そう返事をしたティトの声は弾んでいた。
「よし、もう何も残っちゃいないし帰るか」
ティトが満足したのを見届けると、ルイスはそう言って返事も待たずに出口へと向かう。慌ててティトもルイスを追った。
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当物語の主人公、ルイスとティトが活躍する
別の物語がスタートしました。
カクヨムコン9応募作です。
もしよかったら応援してください。
怪盗ナバーロと『パナケアの3つの秘宝』
https://kakuyomu.jp/works/16817330667342272733
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ここまで読んで頂きありがとうございます。
ついにルイス達は
これでアミーラを救い出すことができるでしょうか?
ルイスの洞察力、かっこよかった。
アルフレッドは共闘しないの?
と思ってた人
★評価やフォローを頂けると嬉しいです。
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