スピカの香り

佐久良 花

スピカの香り

見ぬふりや見逃すことを手放せず光失い沈黙の春


なんでも知っているという君は知らないスピカの香り


AIに慰められた昨日より君と喧嘩をしたままの朝


丁寧に正論並ぶ野原より支離滅裂なマグマの海に


えんえんとガストで語り続ける夜は指で弾けば消えてなくなり


気まぐれな思い違いを<コイ>と呼び陽炎浮かべ<アイ>を求める


目の前で引き返したり無意識に駆け引きをする余白無くなり


日曜のスタバの隅で泣きじゃくる彼女宥める彼のAI


天性の欠落のごと雨粒は流るるうちに大河となりぬ


凹凸を未然に避けているうちに イロモカタチモナイホシニイタ


作られたような丸みを帯びた石 角を作って泣いた夏の日


キャンバスにロジックの無き線描き色を重ねた襞なき無情


偶然のような顔した運命に目印の付くスカウター付け


ボーダーのTシャツを着た少年の自転車に乗る真顔のAI


「そこはペットボトル専用です」と引き止める無表情な相棒


眩しさを感じるようなふりをして西日を避ける仕草する君


淡々と答えをくれる貴方より月を求めて森を欲する


ぽんぽんとプロンプト打ちサクサクと君の寝言の真意を探る


後悔の闇に生まれる光を知らず歩けば灯るライトに委ねる


めずらしくあなたが黙り込んだから星の流れる音を聴いてた

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スピカの香り 佐久良 花 @sakura_h

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