二十首連作「四季おりおりしおり」

四季おりおりしおり

「春」という　響きはじつに　春らしい　

名付けた人には　褒美をやろう

花びらが　別れをそっと　彩るの

貴方を乗せた　二両編成　

絶望を　吸い取ることで　育つ彼

五月の青葉　荒んで見える

麗らかな　日差しの中の　光合成

彼女はそう　水を得た魚

すべからく　やがてホコリと　同化する

透けて見える剥製の春　　

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かたつむり　渦巻きぐるぐる　追いかけて

不時着地点は　ブラックホール

死に絶えた　蝉の亡き骸　並べてさ

夏の王国　創ってやろう

人間製　蚊取り線香　僕のこと

群がる蚊たちに　よくモテるよ

「海が好き」と世界を浴びて高らかに

笑う君が消えないよう祈る

8月31日。アイスを食べ惰眠を貪る。これが正しい

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煌めきともの哀しさに挟まれた

微妙な時期を　秋というんだ

夕焼けを　月が仄かに　責めたてる

儚いやつらの　シーソーゲーム

山の影　赤い嵐が　吹き荒れて

蜻蛉の背中を揺らし攫った

落葉を　繰り返している　日々です

やがて散り　裸になるのです　

均等分　昼と夜　どこにもゆけず

その狭間でしか　息が吐けない

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冬の朝　抱きしめられて　生きている

暖かい貴方　サンクチュアリ

冬眠を　むさぼり蜜柑を　食べている

母「熊になるよ」　うるさいなー。

気のせいか　世界の終わりが　見えてくる

寂しい十二月の景色

曇った窓　薄く灯った　懺悔室

剥き出しのこころ　刻みつける

信じられる？　これから別れが　来るんだよ

嫌な記憶も　土に埋めるの