続く流水

識織しの木

続く流水

真夜中の鏡を覗き込んだときあなたがいればいいなと思う


永遠に埃を被りそこにある紙束になり静か見る月


いつまでも終わらぬことを願うなら水を吸わない花に喰われる


窓辺にはその日の希望宿ってる決して開けないカーテンの外


橙のぼやけたようなうそがいい灯りの中で眠る目蓋に


囀りはもう聞こえないこの町に吹かない風の多くを知って


傷ついたレンズが覗くせかいなぜなみだのような止まらぬ流れ


空の果てそれはここにもあるような雑多なものに紛れて潜む


忘れてたあの頃の日ののこりかす曇り空みたく飛んでいるうた


笹舟の行方を知らず微笑みはそのままの葉が茂る都会に


インクの海から掬ったら平然とそれらは文字のかたちをしてる


サイレンが鳴る鳴るはしる背の高いぎうぎう本棚隙間から糸


蛍光灯油こぼしてしゃがむ日に大きな鍋にそっと蓋をし


冷蔵庫からの旅人ベーコンはなにやらハンカチーフのようで


あるいてる終わりなき世をあるいてる小さなボウルをかかえてゆく


頭の中昨夜認めた未来記録徒競走中迷子のロープ


雨叩く傘に入って押し花の栞の数を数える帰り


曖昧な偶像を追う誰でもない思考回路を切って繋げて


白色のリボン手首に巻き黒いアウターのかげ揺れている暮れ


転調で半音上がるラストから急転直下硝子の小瓶

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