10話 歌唱力

俺が歌い終わってから他のメンバーも歌い始める


まず文香


彼女の歌声は安定していて、聞いていて安らげるような歌声だ


本当にこの声で普段から過ごしていれば健吾を堕とすのだって簡単だろうに


だって、健吾の顔を見たら本当にほれぼれとした表情をしているのだから


そして健吾


健吾の歌い方は元気はつらつ、さっきまでのだらけていた姿からは信じられないような選曲をし、俺達3人の目を丸くさせた


文香の顔を見ると少し頬が赤く染まっていた。ギャップ萌えという奴だろうか


そして最後に、咲さん


彼女の歌唱力は本当にすごかった


まず、歌声は本当に透き通った声で本当に誰もが振り返るような声だ


そして、声だけじゃない、彼女の歌声には力があった


本当にご利益がありそうな、そして聞きほれるような本当に神々しい歌だった


「——――ふぅ、初めて歌いましたが気持ちいいですね!」


「「「・・・」」」


「皆さん。どうしたましたか?」


「ご、ごめん凄すぎて圧倒されてた」


「あ、ああ。本当にすごいな」


「ええ、驚きすぎて何も言えなかったわ」


上から、俺、健吾、文香


全員が全員驚きすぎて何も言えてなかった


「本当ですか?なんというか、恥ずかしいですね」


俺達の反応が意外だったのだろう。少し頬を赤らめながら俯いてしまった


「凄すぎて圧倒されちゃったけど、せっかくカラオケに来たんだから楽しまないとね!という事で次は俺だ!」


気まずい雰囲気になる前にどうにかするために立候補すると


「それ、秀樹が歌いたいだけじゃないの?」


「お前、あれの後に行くとか勇者だな」


「う、うるさい!いいだろ!歌うの楽しいんだから!」


2人に少し冷めた目で見られながら次の曲を予約する


といっても、俺のバリエーション的には小学生頃に流行った曲くらいしか皆の前で歌えるものは無いのだが


「お、Blueeeeか、懐かしいなぁ、俺結構好きだな~」


と健吾


「初めからそんなに昔の曲って...」


と呆れる文香


「わ~初めてこの曲聞きます!」


と少しハイテンションな咲さん


「—♪——――♪♪——♪」


「なんというか、普通だな」


「そうね」


「けど、お上手ですよ?」


そこ、歌ってるんだからお静かに


「ふぅ!歌ったー!」


点数は85点。高くはないが、低くも無い


「「普通ね」だな」


「そこ2人うるさいぞ。」


これでこの二人が歌が下手だったりしたら言い返してやれるのに


ちなみに参考程度に


健吾・・・92点

文香・・・95点

咲・・・98点


俺、このメンバーでカラオケにくるのは今日で最後かな...


「けど、秀樹君もお上手でしたよ?」


「う、うん。咲さんありがとね」


なんだか、俺は悪くないのにみじめになってきた...


とりあえず、それからも俺達は各々が好きなように歌い、好きなようにジュースを飲み、好きなように雑談をした


4人しかいないからか、曲の順番が回るのも早いので適宜俺達は休憩しながらカラオケ内で遊びつくした


「いやぁ~楽しかったわね!」

「はい!それに、歌った後に食べるソフトクリームも美味しかったです!」

「だよな!俺もカラオケのソフトクリーム好きなんだよなー」

「秀樹も咲さんも途中から食べてはすぐにお代わりに行ってたもんな」


こうして、カラオケで精いっぱい楽しんだり、下の名前で呼び合うようになったりすることで、俺達4人の仲、というか、咲さんと俺達3人の距離感が近くなったような気がする

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巫女JKと平凡少年 あちゅ @achunatsu

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