なんだろう、ちょっと泣きそうになっている自分がいます。
父親の矜持というは、たぶん子供にはぼんやりと推し量ることしかできないもので、それを手放すことはきっと重い決断であると思うし、身勝手にできるものではないと思います。
理解者がいて、託す相手がいるからこそ、できることだと思うのです。
「お疲れさま」と「ここからは──」の二つの台詞に、その全てが詰まっているように思えて、その台詞に辿り付く前の道程から「これはヤバい、泣いちゃうやつだ」と思いながら読んでおりました。
めちゃくちゃに好いお話でした!
作者からの返信
そわさん
お読みいただきありがとうございます。
ずっと一緒に住んでいる家族と離れて暮らす家族と。距離感は色々なんですが、父と息子のドライブのシーンで母を含めた三人の空気感を出せたのかなぁと思っています。
自分でも気に入っている作品だったので、読んでいただけて、良かったのと言っていただけて嬉しいです✨
免許の返納。
高齢だから、何が起こるかわからないから、
反応出来ないかもしれないから、
運転は危ない。
確かにそうなのですが、
苦労して免許や車を手に入れ、
誰かを乗せたり、働いたり。
人生の幸せな場面に車の存在を感じていたなら
運転の卒業というのは切なく寂しい気がします。
でも、このお父さんには労ってくれる妻や
お父さんの想いを汲み取れる
息子がいてくれて、良かった。
決して、今、順風満帆な境遇ではないですが
これまでのお父さんの誠実な生き様が
じわじわと伝わってきました。
家族って温かい。温かくあって欲しい。
それを感じられる人でありたい。
とてもとても素敵な作品でした。
読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
三寿木 春様
お読みいただきありがとうございます。
また丁寧な感想もありがとうございました。
家族の関係性や絆のようなものが表現できればと思っていましたので、とても嬉しいお言葉でした。
この作品では妻が認知症ということにしていますが
おそらく誰にでも起こり得る境遇なのでしょうね。
もう少し先の未来に、同じような体験があるのかもと思うと、この父親のように誠実に過ごせたらなあと。
コメントありがとうございました。
他の人とのコメントを見て、これを経験前に書ける事の素晴らしさを賞賛したく思いました。
自分は既にこうした事を経験済みなので正にこの通りだと感じた分だけ、これを実話かと思ったくらいです。
是だけは言えますが、父、息子の間にあるそれぞれの『眼差し』は、そのどちらかの身が滅びた後も熱く続いて行くのです。
作者からの返信
深宙 啓さま
お読みいただきありがとうございました。
老いや痴呆症のような状況は、直接これと同じ体験はしていないのですが、
どこか似たようなことも自身あるいは身近にあって、そういうのが幾分は作品に落とし込めていたのかなと思います。
現代物で日常的な話を書くことが多いので、
リアリティがあったというお言葉はとても励みになります。
>父、息子の間にあるそれぞれの『眼差し』は、そのどちらかの身が滅びた後も熱く続いて行くのです
こちらのお言葉はとても沁み入ります。とても貴重なお言葉をありがとうございました。
大変良いお話でした。
私の父もタクシー運転手だったので、車には相当なこだわりがありました。
公共交通機関の乏しい県なので移動はずっと車で、父の運転によく乗せて
もらっていたことを思い出します。
父に連れられて行った様々な場所は、今でも鮮明に覚えてますし、そういった
経験を今度は自分が子供に体験させてあげる事はとても大切だと思っています。
孝宏君も、そういった父との思い出を繋いでいけると良いですね。
作者からの返信
三流FLASH職人さま
お読みいただきありがとうございました。
なるほど、職業運転手の方はやはり車とか安全にはこだわりがありますよね。私の場合は仕事で運転手の方と接することがあり、彼らの安全に対する意識をとても敬服したのです。
私もこういった家族の繋がりってとても大切だと思いますので、少しでも心に残れば幸いです。
コメントありがとうございました。
はじめまして♪
日常的に十分起こり得るお話ですね。
自分の祖母も認知症でしたから……
免許返納後の穏やかな父の表情が本人の中で一つの区切り、それも納得のいった区切りだったと個人的に感じました。
そして思い出と車は息子が引き継ぐ……
家族とは良いですね。
素敵な物語をありがとうございました(^^)
作者からの返信
アニマルさま
はじめまして。この度はご高覧&素敵なレビューをありがとうございます。
私自身も年齢を重ねてきて、免許はどこかで手放したいなあと考えていたので、テーマに持ってきてみました。
父と息子って様々な家族の形があると思うのですが、ああ、こういう親子がどこかにいそうだな、と感じていただけたなら嬉しい限りです。
ありがとうございました。
最後のドライブ、とても心に残るお話でした。
車とともにあったお父さん、免許返納は大きな決断だったと思います。そして、息子である孝宏さんと水入らずのドライブは、まるで自分の人生のバトンを息子さんに渡す儀式のようにも感じました。お母さんに免許返納を報告し、息子さんに運転を代わるるシーン、思わずウルっときてしまいました。
父の日から一週間遅れましたが、素敵なお話、ありがとうございました。
作者からの返信
お読みいただきありがとうございます。
免許返納ってなんとなくけじめのようなイメージが有りまして、特にこの父親にはそのような思いが強いのかなあと思いながらの執筆でした。
かなり読者の方の読み方におまかせするような作品ではありますが、皆様それぞれの「父」に対する気持ちが少しでも想起されれば良いなあと思います。
ウルっとしていただけるのは望外でございます。
コメントありがとうございました。
はじめまして。
楽しく読ませていただきました。僕も最近親が還暦になった世代なので、主人公の哀愁に共感しました。社会的にも精神的にも頼もしかった親を、今度は僕が支えられるようにならないといけないのですが、なかなか難しいことが多くて憂鬱です。
ところで、本文に「浮力を感じて全身の緊張かほぐれるように感じて思わず声か出た」とありますが、正しくは「緊張が」「声が」ではないかと思います。また、1文中に「感じて」という語が2回出てくることに違和感があって考えたのですが、「浮力で全身の緊張がほぐれ(るのを感じ)、思わず声が出た」などの表現にすると、より良くなるのではないかと思います。
作者からの返信
あじさいさん
お読みいただきましてありがとうございます。
私もそこそこの年齢になってきたのでテーマ的にもうじき経験しそうだなという思いもあり執筆しました。
楽しんでいただけたようで嬉しいです。
文中の表記についてもご指摘ありがとうございます。
全くおっしゃるとおりでして、恥ずかしい!
証拠隠滅してきました。
ありがとうございました。
編集済
拝読。
私の亡き父も車好きで、仕事も趣味も車なしではありえないというタイプでした。
まあその父は最後まで免許を手放さなかったんですが、晩年は時々運転が怪しくて、返納しろとも言えず、積極的に運転代わったりしていたことを思い出しました。
車人間の父の最後のドライブ、免許返納というキーワードだけで、ちょっと
グッときますね。ここら辺の素材は素晴らしいものがあると思います。
気になるのは、まず父親の年齢ですかね。
背中が小さくなったなど描写はありますが、具体的な描写がないので、
「免許返納するべき年齢なのか、そうでもないのか」がわからず、理由を問う場面でちょっと疑問を覚えました。
物語的には、母親が理由ということもあるので、返納が当然に思える年齢より若いのだと思うのですが、もしそうなら、息子が最初に考えるのは体調不良とか病気ではないかな、と。特に目とか。
この辺りの疑問は、年齢と合わせて息子に問わせた方が、状況が伝わりやすくなり、免許を返納する意味が深まるのでは、と思います。
もう一つは、免許を返納する理由ですかね。
「母親を安心させるため」というからには、認知症の母は安心できない状態なのだな、というのは察せられますが、面会場面でそういう描写がないので、肩透かしに感じました。
たとえば「父がまだ現役だと思い込み、ひどく心配する」という話であれば、父親の行動も理解できるのですが。
というか、多分設定的にはそうで、あえて抑制して書かれてるのかも、とも思えるのですが、そこはもう少し匂わせてもいい気がします。車内で息子に軽く話しておくとか。
あとは、現実的な車の必要性でしょうかね。
老人が免許返納しない理由は、主に車が必須な環境だからです。
話を見るに父親も一人暮らしのようですし、車なしで生活できるのか心配になりました。
私なら、最後は息子に「必要ならオレが運転するよ」とか言わせますかね。
どんなに危険でも心配されても、家族のために男は車に乗るんです。
それは、父親の在り方や仕事にも通じるわけで。
その辺りが息子にも伝わる感じがあれば、なお良しかなあ……とか思いました。
素材は満点。
返納理由の部分のもやもやが引っ掛かるので、星一つ引いて、
今回は星二つとさせていただきます。
私個人は、理由がはっきり伝わる方が好みと言うことでw
作者からの返信
カメムシさん
毎度ありがとうございます
いや、すごい参考になります。
返納の理由については確かにおっしゃるとおりで、
わざと書いてないという側面もあるのですが
そこまで考えてないというのもありました。
このあたりは私の設定の作り方の癖のような気がします。
キャラクターの背景が弱いと言うか、細部を設定できていないというか。
どこか悪いのか?と思うのはそうだなあと思って、
少しだけ追記しています。
母の心配の部分はここは書いちゃうと
「在職中にずっと心配してるのを知ってた」
ということなんですが、別に求められたわけではないのですよね。
父の自己満足なので。それを父の誠実な様子と家族への思いとして表現したかったので、あえて書かない作戦で。
なんとなく私の設定の甘さの癖のようなものが見えたなあということでありがとうございます。
幸まる様のレビューから参りました。
家族の歴史に中に「運転する父親」が核としてあって、最後に息子に運転を託す。
淡々と描かれる日常に泣きそうになりました。
素敵なお話を読ませて頂きました。ありがとうございます。
作者からの返信
時輪めぐるさま
お読みいただきありがとうございます。
レビューいただいた幸まるさまにも感謝でございます。
日常っていつもと同じような日々の連続でありながらも、少しずつ変化していって、時間を置くといろんな違いに気づくんですよね。
実家に帰るとよくそんな気分になるのです。
気に入っている物語だったので、素敵なお言葉をいただけて嬉しいです。
ありがとうございました。