第8話『そうしてプロットをぶん投げるのだ」

 この世界の創作論に物を申したり我を通したいわけじゃあないから、なるべく中道を歩くけものさんだよ。今日は実際に自分が書いたプロットをぶん投げてみよう。


 エッセイ的ではあるかもしれないけれど、役に立ってくれたら嬉しいし、間違っていたらぶん殴ってくれて構わないし、ただ単純に楽しんでくれたら僕は概ねハッピー、ぶん殴って楽しむのも普通に楽しむのも君の自由だよ兄弟。


 個人的に、自分はプロットを作らないタイプです。

勢いで白紙のページに物を書き始めて、粗が出るタイプ。あまりにもマズイなと思ったら多少の道筋は書くけれど、それに沿って物語が動くかは分からない。


 


 処女作は7章あるうちの2章の時点でプロットを書いたのだけれど、結局はほぼその通りにはならなかった。楽しんで書いちゃう弊害なのかもって思う。


 僕は作者であり、読者であり、脳内にある誰かの話を切り取っているだけなのだと思う。彼らは食事も取っていればトイレにも、シャワーやお風呂にも入っていて、だけれど物語としては切り取っていないだけの話。彼らにも人生があって、だけれど語るには野暮だから必要な所だけを切り取っているだけの話。


 だからね、設定は詰めてもプロットってあんまり作らないんです。だって何をするかはその子達次第で、僕はそれを切り取っているだけだから、なんていうとちょっとスピリチュアルな話だけれどね。


 でも、じゃあ超簡易的なプロットを、前回前々回と書いた三幕構成をちょっと考えつつ書いたらどうなるのかなって話を、実際に書いて作品にもしていない物を例に今日は書いていくね。これはたまたま思いついて書き殴っただけの物だから、勿論面白いかは別だよ。

 あと注意書きで書いてある事も自分用のメモだからそうしろとかそうするべきってお話じゃないよ。

 間違っているところもあるかもしれない! だから単なる一人の物書きの、超簡易プロットの公開だと思って読み物程度に見てくれたらいいや!


 もしこれを書き始めたら、きっと全然違う話ができちゃうんだろうなって思う。

 結局のところ、プロットを書いてから作品を書いたとしても、直接白紙に向かって思うがままに作品を書いたとしても、僕の作品って事に違いは無くて、癖だとか台詞回しだとか、そういうのはあんまり変わらないと思うんだ。僕の場合はね。だからどっちが面白くなるとかは多分無いんじゃないかなぁって思う。どっちもおんなじくらいの、プロットがあろうとなかろうと、ただ僕の作品が出来るだけなのかなって。当たり前の話なんだけれどね!


 ただまぁ、必要とされるなら書く! そりゃあ当たり前に!

 そして多分、此処まで最初から最後まで一文字も書かずに書いちゃったなら、ある程度は言う事聞いて書く自分もいるのかもしれない!


 わっかんないな! 前置き長いね! プロットどうぞ!

 










◆僕が考えた超簡易プロット◆

『宗教的カニバリズム(人食い)が蔓延る街で、人狩りと解体屋が悪い奴らを狩り尽くすぞ』

ログライン(仮)『狂気に駆られて人を狩る』

ジャンル『サイコ、アクション』

大前提→まともな振りをしていても登場人物のモラルは何かしら狂っている。

◇舞台設定とか◇

・近未来、新興宗教が蔓延っている半閉鎖都市。

 →医療技術発展済み、多少の病は金を払えば何とか出来る。

  →富裕層と貧困層の距離が近いが、貧困層は事実上の奴隷(兼食事)

・新興宗教の元はカニバリズム(ここは実在の宗教、文化の裏取り必須、但し架空とする)

 →この新興宗教はある程度の規模を持っている。

  →舞台は半閉鎖都市(名前未定)だが他にも似たような都市が存在する。

   →大きく無くても良いので何処か架空の国を一つバックに置いておくのも良いかもしれない。

    →富裕層で新興宗教にハマっている人は「人の心臓を食べると寿命が伸びる」と信じている。


・その都市の人間達がどの程度宗教を信じているかはまちまち

 →そこらへんは富裕層と貧困層の差を上手く使おう。

  →貧「俺らは救われるなんて信じちゃいねえよ、けど結果明日の飯にはありつける」

   →人を狩って富裕層に献上すると病などのケアもしてくれる。


・主に食われるのは観光客など、または家族ぐるみで永住させてその後食べる。

 →見た目だけは立派な都市、ドバイ的まで行くとやりすぎかもしれない。

  →映画版ブレードランナー(変な表現だよなこれ)の雰囲気だろうか、車は空を飛ばないけれど。


◇用語◇

・人狩り

 観光客などを狙って殺す、殺す相手については独自のネットワークで知らされる。

ライバルはそこそこにいる為、人狩り同士の殺し合いに発展する事もある。

ライバルを殺せた場合はその死体を売りに出せるので一石二鳥となる。


・心臓抜き(モツ抜き)

 狩った人間の心臓を適切な処置で取り出す闇医者の総称。

居場所は決まっており、人狩りには心臓抜きが住んでいる場所の地図が渡されている。とにかく早い段階で心臓を抜いてもらう事が大事。


・臓器売り(バラ売り)(名前要検討)

 心臓を求める富裕層の余り物で生計を立てている存在、要は富裕層が必要としない心臓以外の臓器を持ち去って売るブローカー


・解体屋(バラシ屋)(名前要検討、何を解体しているのか)

 抜いた心臓を届ける場所。狩った人間の後処理も担当する。

食べやすいように心臓を切り分けたりもする。


・オーダー

 心臓は基本的に人狩りに共有されたオーダー品(ターゲットの心臓)でなくてはならないが、それ以外も取引はされている。


◇キャラ設定とか◇

・主人公

 人狩り、22歳。身長172cm体重64kg黒髪(やや細身 理想体重+2キロ やや筋肉質)


 観光客として家族と一緒に街に来た時に家族を狩られる。それから五年、富裕層に拾われ良い様に使われている。

 人狩りに使う主な凶器はナタ。

 都市に恨みはあれど、自分の命には代えがたい。

 とある観光客を狙う時に自分を重ねてしまい、仕事について強い疑問を抱き直すのが……。

『自分の為に人を犠牲にする、それが家族であっても』


・解体屋(ヒロイン)

 17歳。身長153(小柄、細身)体重45(美容体重+2)金髪


 都市の出身、先代も先々代も解体屋。宗教が生まれる前から解体屋、その理由は『    何か     』(ストーリーの欠片)

 よく食べるがよく働く、天真爛漫に、汗を拭いながら人を解体する。都市はモラルが崩壊している。17歳の少女でも解体屋家業の娘なら人の死など何とも思わない。

 何とも思わないが、自分のしていることが悪い事だという事は知っている。

 とはいえこの都市に育った手前、どうする事も出来ない。何人もの人狩りを見てきた、どうせなら人狩りになりたかった。

『殺された後ばかり切るのはつまらない、どうせなら私も』


・心臓抜き

 34歳。身長180cm体重80kg(ガッツリ筋肉質)黒髪

 主人公行きつけの心臓抜き、キャリア10年。元々は人狩りも兼ねていた。人狩り同士の抗争で腕を失くす。

『周りを生かす為なら自分の何もかもを捨てて構わない』


・心臓抜きの助手

 17歳。身長151cm(小柄 バイン)体重46kg(美容体重+4)茶髪

心臓抜きの助手、抗争時にターゲットになっていた女の子。家族は他の人狩りに狩られているが、心臓抜きに自分を守ってもらってから助手をつとめる。最近こっそり人狩りに出ている(ストーリーの欠片)

『愛さえあれば何だって良い』


・臓器売り(ハイエナ)

 狂言回し、年齢不詳、身長低め、体重不明、金髪。


 主人公に何かとひっついてくる男、ヘラヘラしている。情報を流してくれるが何処か怪しい。随所で恨みを買っている、ハイエナと呼ばれている。

『使える者は親でも使え、友でも使え、誰でも使え』


◇超簡易プロット◇

--発端--

1、主人公と競合の人狩り、ターゲットの取り合い抗争。→戦闘1

2、ターゲットに感謝されると同時に惨殺、心臓抜きへ(助手は不在)


--世界観説明--

3、解体屋と接触、やや多めの会話→世界観説明終了


4、解体屋から出た後、臓器売りと遭遇、同時に追いかけて来た人狩りと戦闘2→関係性説明


5、臓器売りに情報をもらう(心臓助手の人狩り話と次のターゲット達について)


6、心臓助手とターゲットの取り合いになる。心臓助手は見逃し、ターゲットには逃げられる。→


7、自宅へ戻り眠る間に夢を見る。起きると富裕層からの命令により急遽心臓の調達を頼まれる。→銃器入手

8、先日と同ターゲットの情報を臓器売りから買い、殺しに行くが一歩遅く他の人狩りに殺される寸前だった。


9、はターゲットを守り、人狩りを殺す。→戦闘3 1


10、ターゲットには罵倒され逃げられるが、変わりに人狩りの死体を心臓抜きに持っていく。→会話多め


--中盤--


11、オーダーされた心臓では無いが、心臓抜きに偽装してもらい、解体屋へ持っていく。→


12、解体屋は偽装心臓だと見抜くが見てみぬ振りをする代わりに人狩りに連れていけとせがむ。→


13、ターゲットに逃げられた事を教え断るが、臓器売りが解体屋にターゲットの情報を渡す。

14、落ち着かないまま自宅に戻り眠る主人公。その頃心臓抜きの元に富裕層がやってきて偽装心臓を作った事に対して糾弾する。


15、心臓抜きの仕事は受け付けないと言いつけられ、心臓抜きと助手との会話→


16、助手は主人公を憎むが、心臓抜きはそれを諌める。一方解体屋は主人公が見逃したターゲットを追い詰めていた。


17、目覚めた主人公の元に富裕層がやってきて「お前も人を食って生きてきた」という言葉を言われる。

   →ダブルミーニングに聞こえるが実際は食してはいない。だが主人公は自分が食人鬼になったと勘違いする。


--ミッドポイント--


18、心臓抜きの制止も効かずに主人公を殺しに来る助手、済んでの所で心臓抜きの元へ逃げおおせる→戦闘4

19、そこには満面の笑みでターゲットを引きずる解体屋がいた。

20、絶望の表情を浮かべる主人公、そこに現れた助手が主人公の肩を切り裂く。

21、心臓抜きの怒号に怯え逃げ出す助手、心臓抜きが主人公の傷の手当を優先している間、解体屋は独りで心臓抜きを試みていた。

22、助手と臓器売りが話している。助手が愛する相手は心臓抜きでは無く、臓器売り。


--解決--


23、心臓抜きから富裕層についての話を聞き、自分が食人をしていなかったことに胸を撫で下ろす主人公。

24、死体を弄ぶかのような解体屋が語るその都市の狂気、解体屋は臓器売りに主人公の役に立てと囃されていた。→


25、臓器売りを探す主人公と心臓抜き、見つけたと思った時に助手が心臓抜きを刺す。

26、心臓抜きと助手の会話、心臓抜きの許し、父子的な関係の話で心臓抜きは息を引き取る→


27、本当の愛情に気づくがもう遅い助手、だが憎しみを以て臓器売りに近づこうとした所を殺されかける。

28、解体屋がそれを止め、臓器売りが逃げ出す。→


29、主人公と解体屋が臓器売りを追いつめた先で、臓器売りは街の狂気を改めて語る。

30、それでも尚立ち向かうと言う二人に臓器売りは銃口を向ける、主人公を庇い倒れる解体屋、それを見て臓器売りを殺す主人公。→最終戦闘

31、解体屋が目を覚ますと助手が手当をしてくれていた。主人公もまたそこにいる。臓器売りの心臓を富裕層へと送りつける。

32、残された三人、狂った街、それから先、ターゲットが殺される事は無くなった。その代わりに、一人ずつ街から人狩りと食人富裕層が消えていく。


--終わり--


◇発想の参考になった映画◇

・野火(古いのも新しいのも)

・ブレードランナー(どのバージョンだったかまでは……)



 このお話はおそらく世に出る事は無いと思うよ。

出たとしても、どうだろう。面白いかなぁ?

でもまぁ、こんな風に超簡易プロットを書く事もあるよってお話だね。

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