第4話『こんな風に君と向き合った』

 これはある意味創作論にも近いのかもしれないと思う。いや、そもそも創作論でないといけないのだが。だからこれはレビューの創作論。


 少なくとも僕個人が200件以上の作品レビューを書いた時に意識した部分の話。


 個人的な考えだから、ただ単純に、こういう風な作品の事を僕が好きだという話でもある。ただ、この世界には限りなく僕に似ている多くの僕がいるかもしれない。


 なろうのレビューは150文字以上400字以下で、タイトルが必須。

 自分は400字丸々使ってからタイトルに頭を悩ませるタイプだった。

 400字あれば大体3~4個くらいの作者の強みを褒める事が出来たと思う。場合によっては語りつくせず1つで終わってしまうこともあったけれど。


 とりあえず精一杯向き合ってみた。ただし断定系は滅多に使わないというのと、『面白い』という言葉を成るべく使わない事を心がけた。断定してしまうと責任が取れない。それに面白いと言うのなら感想で良いと思った。それでも圧倒的な面白さがあれば正直にそれを書くことはあったけれど、基本的にはやはり作者自身の強みを探した。


 『思った。感じた。好感を持った。だろう。個人的には。どうだろうか』


 そんな言葉を使い分けた。1つのレビューに『思った』が二個みたいな事は避けるようにして書いた。やはり人様に向けて書く文章だ。見栄えは気にした。そこそこレビューを書くのにも慣れてからだったが、書き終えてから音読する事もあった。


 では前置きが長くなるので、何者でも無い僕が人様の作品を読ませてもらってレビューを書く時に見たポイントをさっそく書いていこうと思う。


・点数について

 ★1 作品を公開しているその勇気だけで素晴らしいのでつけない。

 ★2 何ヶ月も未更新の作品、たまに見に行って更新されていたら評価を変える。

 ★3 書いている、素晴らしい。

 ★4 文体がしっかりしている、または光る所がある等色々

 ★5 ★4の条件を複数満たしているか、端的に面白いと思った作品。


 最終的には★4>★3≧★5>>>★2という感じになったと思います。


・書いている事が素晴らしい。

 それが一番大事。最強に大事。

 それだけで個人的に言えば満点あげてもいいくらいの話。逆に言えば未完結のまま何ヶ月とか何年の作品を見るのは寂しい気持ちになった。頑張ってくれたらいいなと思いながら応援している。


・タイトルを見る。

 ここで褒める事はあまりないけれど、最初に目に入る言葉から書いていこうと思う。個人的には長文タイトルでも良いと思うが、時折短文で素晴らしいタイトルをつける人がいる。どちらかといえばそちらの方が好みだった。多くに好かれるかは別として。


・あらすじを読む。

 意外と雑なあらすじを書く人が多い印象を持った。あまり重要視していない人が多いのかもしれない。何かの賞の選考を通った事をズラリと書くのがトレンドなのかもしれないと思った。だが果たしてそれはあらすじなのだろうか。とはいえ、まぁそれで人が集まるなら良いのだ。それで良い。

  基本的に褒める為に見ていたポイントはあらすじ内に『』と『』の二つだ。それらが提示してあると物語に入り込みやすい印象を受けた。

』というパターンも好みだった。


・文体

 これは最早ネット小説に置いてはあってもなくてもいいような物ではあるが、ブラウザバックする勢は確実に存在する。なので基本的と言われる文体が守られていないと感じたらレビューには書かないが、5点満点の評価する時に気にはした。

 だが『使』というこだわりが然と見えた場合はその点を褒めるようには心がけた。それらは純文学を書いている人に多い印象だった。


・ルビ

 ファンタジーにはよくありがちな作品独特の魔法やアイテム、そうして名前。

それらにつけるルビのセンスはそれぞれで、それが良い物については褒める事が多かった。難読漢字を多く使う人もいたが、そういう場合はルビの乱舞になっていたりして、配慮と我が入り交じる人間味が個人的には好きだった。これもまた純文学を書いている人に多い印象だった。


・設定

 一番レビューを書いていて悩むのは設定だ。設定の面白さ1つで400字が埋まるような作品もあるが、これについてはどうしても好みが分かれてしまう。

 良い発想だなと思えば褒める事は多かったが、個々の好みでもあるので、余程テンションの上がる個人的な好みで無い限り、ゴリゴリと推す事は多く無かったように思える。前述の通り、『個人的な好みの問題だが』となる事が多かった。


・バランス

 これについては地の文と会話文のバランスをよく見ていた。

説明が塊になっていないかだとか、逆になっていないかだとか。

意外と『説明の塊ドーン! 会話の塊ドーン!』というパターンが多いように思えた。それはそれで上手く使いこなせていたら良いだけなのだが。

 上手く会話分と地の文が行ったり来たりしている作品は、その点を強みだと感じた。


・読みやすさ

 行間を開けると縦書きにした瞬間に大変な事になるのだけれど、基本的には横で読む事が多いのでそのあたりは見ていた。あとは難読漢字へのルビや文章量についてもよく確認した。文章量についてはジャンルによって適正があると思っていたので、その適正に合っているようならば、その点についての理解が素晴らしいと思った。


・描写

 作者の拘りが強いポイントだと思うので、ああだこうだと言うのは野暮だと思いながらも、素晴らしい描写が目に留まる事が多く、褒めさせてもらう事は比較的多かったように思える。


・一目惚れ

 たまにある。上記全ての項目のどれでもいい。

一発で虜にさせるような何かが含まれている事がある。

そういった時はもうテンションが上がってしまって愛を語ってしまいそうになった。



 大体こんな所を見ていくと、作者の強みが見えてくる。

流石に全滅という事は無い。200作品全部に少なくとも400字を使って褒められる点があった。


「大丈夫だ。お前にもあるんだぜ、兄弟」

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