宇宙の果て
世忍
第1話
乗組員A1
「キャプテン、今どのくらいの位置まで来たのでしょうか?」
キャプテン
「そうさな~、装置によると地球から宇宙の果てまでの、5分の1くらいの距離かな。」
乗組員A1
「まだまだ、先は長いですね~。」
キャプテン
「冬眠から覚めたのは、今回で10回目だっけ?」
乗組員A1
「キャプテン、冬眠ではないですよ、コールドスリープです。」
キャプテン
「どっちでも同じ氷漬けだろ。」
乗組員A1
「まあ、そうですけど。宇宙の果てまではどのくらいかかるのでしょうか。」
キャプテン
「このまま行けば、多分あと千回くらいのジャンプで行けるんじゃね?しらんけど。」
乗組員A2
「今は出発から地球時間で、約1年くらいでしょうか。」
乗組員A3
「お偉いさんが、言ってましたよね、ちょっと長めのジャンプしないといけないって。」
キャプテン
「まあな、かなり遠いからな。」
乗組員A4
「俺は、宇宙の果てなんて無くて、行けないと思いますが。」
乗組員A1
「本当に、宇宙の果てには宇宙を膨脹させているような物質が存在してるのでしょうか?」
キャプテン
「まあ、お偉いさんが言っているので、あるんじゃない。」
乗組員A4
「俺の意見は無視かよ。」
乗組員A2
「ちょっと考えたんですけど、その膨脹させている物質があるとして、どのくらいのスピードで膨脹させているのでしょうか?」
キャプテン
「多分、宇宙一早いスピードで膨脹させているんじゃないか。光より早い速度で。」
乗組員A2
「それって、この宇宙船で宇宙の果てまで行けるのでしょうか?」
キャプテン
「まあ、お偉いさんが言っているから、いけるんじゃない。」
乗組員A3
「でも、宇宙の果てまで行くと、さらに膨脹が進んでいて、宇宙の果てが遠ざかるのでは?」
乗組員A1
「そうすると、宇宙の果てまでは絶対にいけないことになるのでは?」
乗組員A2
「キャプテン、本当に大丈夫でしょうね。」
キャプテン
「報酬が良かったから俺は、この仕事を請けただけだ。まあ、果てまで行ったことにして、『何もありませんでした。』と報告するのもありかな。」
乗組員A4
「だ・か・ら、行けないと思いますよ。」
乗組員A1
「君は、否定的だな。」
乗組員A4
「当然だろ、ちょっと考えれば誰でもわかると思うけど。お偉いさんは何を考えているのやら。」
乗組員A1
「じゃあ、賭けをしよう。後、千回のジャンプで宇宙の果てまで行けるかどうかだ。」
乗組員A4
「面白い、やろうじゃないか。俺は当然、行けない方に100万円だ。」
乗組員A2
「私も行けない方に100万円で。」
乗組員A3
「私も行けない方に100万円で。」
キャプテン
「私も行けない方に100万円で。」
乗組員A1
「キャプテンまで、行けない方に賭けるんですか。」
キャプテン
「行けないような気がしてきた。」
乗組員A1
「これじゃあ、賭けにならないでしょう。」
乗組員A4
「あれ、君は行ける方に賭けるんじゃないのか。」
乗組員A1
「当然、行けない方に賭けますよ。」
キャプテン
「んじゃあ、次のジャンプの準備を行いますか。」
全員「「「アイアイ、サー」」」
(ウ〇トラQの音楽と石坂〇二のナレーションで)
皆さんは、どう思いますか。宇宙の果てはあるのか、行けるのか、観測できるのか。今後、光よりも早い移動手段を持つことができれば、宇宙の果てや時間の果てまでも行けるかもしれません。
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とある宇宙の果て
キャプテン
「着いたな?」
乗組員A1
「キャプテンなぜに、疑問形なのですか。」
キャプテン
「だって、本当に着くとは思っていなかったし、賭けだってしなかったし。」
乗組員A4
「いや~、思ってもいませんでしたが、本当に着くとはね~。」
乗組員A2
「大変でしたが、無事着きましたね。」
乗組員A3
「最後のジャンプでキャプテンが、『ちょっと遠くまでジャンプした方が良いんじゃない』って言わなければ着いていませんでしたね。」
乗組員A1
「グッジョブです。キャプテン。」
キャプテン
「いや~。それほどでもあるけど。君らが言ってたじゃない。果てまで行こうとすると果てが遠ざかるとか。それで、ちょっと遠くまでジャンプすれば良いかな~って思ってさ。」
乗組員A4
「でも最後のジャンプで、何かにぶつかるような『ドン』という音がしましたよね。」
キャプテン
「気にしない、気にしない。だって異常事態の警報がでていないでしょ。」
乗組員A4
「ちょっと気になりますが、しょうがないですね。」
乗組員A1
「キャプテン、船の周りになにかの物質がまとわりついているようですが、だいじょぶでしょうか。」
キャプテン
「なにか、あるのかな?もしかして、宇宙を広げている物質かな?」
乗組員A2
「その物質に捕まって、宇宙の果てと一緒に移動しているんでしょうか。」
キャプテン
「そうかもな、ジャンプ後に発生した音と関係があるのかも。」
乗組員A3
「じゃあ、早速その物質を取って帰りましょう。」
キャプテン
「そうだな、1番格納庫を開けて、物質を取り込もう。」
乗組員A1
「一番格納庫、オープンします。」
乗組員A2
「多分、取り込み完了しました。」
乗組員A4
「キャプテン、ちょっといいですか。」
キャプテン
「なにか、問題かな。」
乗組員A4
「はい、もしかしてこの船は今、光より早い速度で移動しているのではないでしょうか。」
キャプテン
「そうかもな。………ま、まずいぞ、早くジャンプしろ。」
乗組員A1
「なにか、まずいのでしょうか?」
キャプテン
「いいから、早くジャンプしろ。」
全員
「「「アイアイ、サー」」」
乗組員A1
「キャプテン、ジャンプは成功しましたが、さっきはなにがまずかったのですか?」
キャプテン
「多分、時間をさかのぼって過去に行ったかもしれん。」
乗組員A2
「過去にタイムトラベルしたってことですか。」
キャプテン
「タイムトラベルかはわからないが、数日、数ケ月、数年、数十年の過去に行ったかも。」
乗組員A3
「船の時計は戻っていませんが、周りが過去に行ったってことですか。」
乗組員A4
「多分、けっこうな過去に行ったかも。」
乗組員A1
「君は、このことが分かっていたのか。」
乗組員A4
「光より早く移動する手段がなかったので不明ですが、理論的にはそうなのかも。」
キャプテン
「宇宙の果てにジャンプする前は、地球時間で5年くらいたった頃だったが、今の地球はどうだろう。」
乗組員A4
「まあ、帰ってみればわかりますよ。」
乗組員A2
「我々の出発前に戻っていて、変なことにならないかな。」
そのころ地球では
お偉い人1
「彼らが出発して約1年か、どのへんにいるのかな。」
研究員A1
「宇宙の果てまで5分の1くらいのところではないでしょうか。」
研究員A2
「多分、往復で10年くらいはかかると思います。」
お偉い人1
「そうか、気長に待つか。」
研究員A3
「た、大変です。船が帰ってきました。」
研究員A1
「な、なに、トラブルでもあったのか、通信はできているのか?」
研究員A3
「はい、それがキャプテンが変なことを言っていまして。」
研究員A1
「変なこと?」
研究員A3
「はい、宇宙の果てまで行って帰ってきたと言ってます。」
お偉い人1
「だって、10年はかかるはずだろ。」
研究員A2
「そうですが、嘘をついているとも思えませんし。」
お偉い人1
「とにかく、事情聴取だ。」
キャプテン
「だ・か・ら、行ったって言っているでしょう。」
お偉い人1
「宇宙の果てに?」
キャプテン
「そうですよ。」
お偉い人1
「でもな、証拠が無いので、なんとも言えないんだ。」
キャプテン
「船の時計と一番格納庫の物があるでしょう、あと、航海日誌も。」
お偉い人1
「確かに、何かの物質が入っているが、調べる手段が今のところないのでね。」
キャプテン
「ま、私としては、報酬を貰えればそれでOKですが。」
お偉い人1
「いいだろう、報酬は渡すが、もう一度果てまで行ってくれないか?」
キャプテン
「嫌です、今回運が良かったので帰ってこれましたが、二度と行きません。」
お偉い人1
「しょうがないか、別の人にお願いしよう。」
キャプテン
「ちゃんと、今回のことを正確に伝えてくださいよ。」
新クルー1
「キャプテン、地球がありません。と言うか太陽系がありません。」
キャプテン
「やっぱり、宇宙の果てでのんびりしていたから、時間が戻ってしまい、太陽系が作られる前まで戻ったにちがいない。」
新クルー2
「お偉いさんは何も言っていませんでしたよね。」
新クルー3
「知っていたのでしょうか。」
キャプテン
「多分、前回のキャプテンが詳しく説明していたはずだが。我々には説明しなかったのだろう。」
新クルー4
「キャンプどうしましょうか。」
キャプテン
「よし、光速で移動し、俺たちが出発した後の1年後まで時間を進め、それまでコールドスリープでいよう。」
全員
「「「アイアイ、サー」」」
作者的には、タイムパラドックスや相対性理論など無視しています。
苦情は受け付けていませんので、よろしくお願いします。
宇宙の果て 世忍 @bunoshiyo
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