110. 2024春アニメ振り返り〈後編〉【アニメ感想】『鬼滅の刃 柱稽古編』

『鬼滅の刃』は原作ともにアニメ第1シリーズから視聴を続けています。

今まで取り上げたことがありませんでしたので、クライマックス直前の区切りに一度触れておこうかと思い立ちました。



◆『鬼滅の刃 柱稽古編』


原作でのわずかな描写から換骨奪胎かんこつだったいしつつふくらませ、各話エピソードとして再構築する手腕に脱帽です。アニオリ補完には定評ある本作ですが、今シリーズにはその真骨頂を見た思いがしました。



◇束の間の青春


主人公のたんろうだけでなく、名もなき若き隊士たちも心血を注いで柱稽古に打ち込みます。たとえ厳しい稽古を乗り越えたとしても、その先にさらなる壮絶な戦いが待っていることを思うと胸が痛みます。


隊士たちには、いっそ脱落して穏やかな余生を過ごしてほしいという気持ちと、命を賭しても本懐を遂げてほしいという気持ち、相反する思いに身が引き裂かれそうでした。


「できれば長生きしてほしい」いちろうの真心に深く共感を覚えた第4話では、炭治郎も交えた皆で紙飛行機を飛ばし合う場面に涙を抑えきれませんでした。個人的に今期のアニオリで一番好きなシーンです。



◇きょうだい


続く第5話後半、不死しなずがわ兄弟の間に横たわるものはあまりにも重すぎて、流石の炭治郎も一筋縄ではいきません。善逸ぜんいつがコメディリリーフとしての役割を全うしてくれたおかげで、視聴者の情緒が救われました。


炭治郎はさねに、禰豆子ねずこを傷付けられたことを許していないとはっきり表明します。その実、表現方法が真逆なだけで、実弥のげんに対する兄弟愛もかま兄妹と同質なのですよね。もっとも、この時点では知る由もないことですが……。


第6話、岩柱の稽古で脱落した隊士にも炭治郎はねぎらいの言葉をかけます。ほんの短い描写でしたが心に沁みました。その後再会した炭治郎と玄弥がすっかり打ち解けていたのも、これまでを思うと感慨深かったです。



◇存在してはいけない生き物!


悲鳴ひめじまさんの過去もまた凄絶です。岩の呼吸初お披露目は対ざん。鬼殺隊最強の名が伊達ではないことが端的に明らかにされました。


その最終話、お館様と無惨が対峙する場面では、双方の精神性の違いをありありと見せつけられました。

片やあまりに高潔、片やあまりに下劣。こう言っては何ですが、無惨の発する台詞の一つ一つが、マジでどの口が言うんだ? 的な腐れ外道で震えます。稀代の名悪役ですね。


怨敵に一矢報いようとするたま様の情念が痛ましくも美しい。ここでも無惨の外道発言にピキピキ。ほんまこいつ……! ってなります。


そんな憎むべき無惨めがけて柱+炭治郎がそれぞれの技を同時に繰り出す場面は(不発と分かっていても)胸熱です。少年漫画くあるべし、という気概を感じました。無限城での決戦にも期待がふくららみます。




ちなみに原作完結までの感想は以前に投稿済みです。


★5. 私論『鬼滅の刃』【漫画感想】

https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16817330659205584272

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