39. 男女問わずオススメかもしれないBL漫画(3)延長戦【漫画】

真野魚尾(まの・うおお)です。初めましての方、テーマをおさらいしたい方は下記の回をご確認ください。


  *  *  *


〈前々回〉

★27. 男女問わずオススメかもしれないBL漫画(1)コメディ編【漫画】

https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16817330662615543138


〈前回〉

★32. 男女問わずオススメかもしれないBL漫画(2)ドラマ編【漫画】

https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16817330663591918899


  *  *  *


このテーマもほぼ語り尽くしてしまったので、補足回です。


前回取り上げた『同棲ヤンキー 赤松セブン』の作画担当が男性作家というところからの続きです。



◆男性作家のBL作品


……って、他にも読んだことあったかな? と振り返ってみたのですが、僅かにございました。



◇『7日間。~ノンケはゲイに目覚めるか?』つくも号


まずは、つくも号先生。真野が読んだ作品はどれもショタ物だったり、露悪的だったりと癖(へき)が強めでした。この辺りが地雷の読者様は要注意かもしれません。


そんな中「何も起きないはずがなく……」のキャッチコピーで有名な『7日間。~ノンケはゲイに目覚めるか?』は比較的ソフト&ライトで人を選びにくいかと思われます。……BLの時点で人を選ぶとかは無しの方向でお願いします。




◇『弟の夫』〈全4巻〉田亀源五郎


BLとは少し違いますが、『弟の夫』はゲイの恋愛/結婚観を真摯に描いた名作だと思います。ヘテロ男性の主人公が抱く偏見や戸惑い、やがて理解に至る過程にもリアリティがあり、読者の意識を他人事にとどめてはおきません。


漫画を手に取るのに差し支えがあれば、佐藤隆太主演のドラマ版がおすすめです。序盤から原作改変で警戒させられますが、それも杞憂に過ぎず、全体を通して素晴らしい仕上がりになっています。




◇『うちの息子はたぶんゲイ』〈全5巻〉おくら


こちらもBLそのものではありませんが、セクシャル・マイノリティへの知見が深まる作品です。ゲイかもしれない息子を見守る母親の視点で、ほのぼのとした日常の風景が優しく綴られていきます。


毎話家庭や学校、母親の職場での出来事が描かれます。時にシビアな現実に直面もしますが、そこで示されるのはどれも地に足の着いた回答ばかりです。等身大で生きる息子たちの姿、そして家族の絆は心を温かくしてくれます。




◆副読本として


最期に、漫画作品ではないのですが、BLへの理解の助けとなる書籍を1冊ご紹介します。


ちなみに下記の本は2016年出版『俺たちのBL論』から2年後の特別編を追加した改訂版ですので、タイトルをお間違えなく。



◇『ボクたちのBL論』サンキュータツオ/春日太一


男性同士でなければ成立しない物語がある――腐男子二人の討論会は理知的に、時に暴走気味にBLといふものを解き明かしていくのでありました。BLを読み込むことでキャラの関係性を捉える際の解像度が増すとの論には実感がございます。


「お前だけには言われたくない=お前だけには分かってほしい」ツンデレ論に首がもげるほど頷きつつ。加筆部分では『ゴッドファーザー』から百合、ギャルゲに至るまで言及。BLを超えてサブカル全体への理解が深まるエッセイです。




上記本巻末の文献案内を見て、杉浦由美子『腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち』が2006年刊という事実に驚き。この本を読んだ当時、真野にとってBLはまだ他人事でした。思えば遠くに来たものです。


以上、3回に渡ってお送りしてきたBL談義も一区切りとさせていただきます。しがない趣味人の独り言でした。

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