32. 男女問わずオススメかもしれないBL漫画(2)ドラマ編【漫画】

真野魚尾(まの・うおお)です。前回のコメディ編から間が空きましたが、BL漫画特集の続きです。


今回は、キャラクターたちの心情や変化していく関係にスポットを当てた、ドラマ編をお送りします。いずれも「完結済み」の作品です。




◆『雨上がりの僕らについて』らくたしょうこ


高校時代の親友同士が再会、互いに隠していた気持ちを打ち明け合うことから始まってゆく社会人BL。

グイグイ来る真城ましろ(攻)とかなで(受)の泣き顔にハートを撃ち抜かれまして……第1話の時点で即買いを決めた作品です。


自己肯定感低めですぐメソメソしちゃう奏が「ガワだけ男性の中身女性」ではなく、ちゃんと男性のメンタル造形をしている点に感心します。

意地っ張りで、一人で抱え込んで、周りにも吐き出さない。だからこそ、真城の存在が尊いのです。


二人の親子関係にも注目です。真城の母が毒親となってしまった悲しい背景や、奏の父親の息子への向き合い方には、それぞれ共感や同情だけでは量りきれない感情を覚えます。


ちなみに本編での性描写はほぼありませんが、同人誌『ふたりだけのはなし』で作者様自ら公開してくださっています。ありがたや。




ソフトめなBLだと、こちらの2作品もおすすめできます。




◆『佐原先生と土岐くん』鳥谷コウ


教師×ヤンキーの学園物。それぞれの背景にドラマがあり、サブキャラを交えた群像劇っぽくもありの充実した物語です。登場人物が軒並み♂×♂CPなのはご愛嬌。同作者の下記作品もそうですが表情、特に照れ顔が秀逸で萌えます。




◆『浅春観測』鳥谷コウ


DC年下攻。二人の身長差とともに心の距離も縮まっていくのがエモい。春に始まった恋が3年の時を経てまた春で締め括られる美しさ。最終話ではその先の夏へ。感慨深い。本編で不足がちのイチャイチャ成分は単行本描き下ろしへGO。




それから、少し前に読んだ作品。記憶を掘り起こしつつ。




◆『銀座ネオンパラダイス』ウノハナ


出征したまま行方知れずだった幼馴染みとの再会。終戦直後の時代背景が生み出す緊張感が良いスパイスになっています。自由奔放な攻と健気な受の不器用なすれ違いにハラハラしつつ、最後は一安心。脇役たちも魅力的でした。


こちらの作者さんはどの作品も設定がしっかりしていて、登場人物の言動に説得力があるのが良いです。『声はして涙は見えぬ濡れ烏』『ハイブリッド・スターダスト』の兄弟作も手に取りやすいかと思います。




最後はちょっとだけハードなBLを。原作者と作画担当のお名前で一目瞭然、アウトローBLとヤンキー漫画のコラボ的な作品です。




◆『同棲ヤンキー 赤松セブン』SHOOWA/奥嶋ひろまさ


作画が男性作家ということで、絵柄やコマ割りは青年漫画準拠。男性読者でも読みやすいかもしれません。全体的にコミカルな作風で取っ付きやすく、アクションシーンも見応え充分です。


肝心の内容はタイトルそのまま。一人暮らしのヤンキーDK・赤松(受)の部屋に、謎の男・セブン(攻)が転がり込んで同棲生活が始まります。赤松くんは初々しくて可愛いし、セブンは飄々とした裏に危険な匂いを漂わせていてドキドキです。


それから注意事項。叡智でございます。詳しくは書きませんが各巻にシーンあります。初回からいきなり◯れないところが多分リアル(知らんけど)。特に2巻が濃ゆいです。ただし、二人とは関係ない所で虫注意シーンありです。


最終3巻ではセブンの激重過去が明かされますが、赤松くんの若々しいヒーロー力が眩しすぎました。それとSACHIKOグッジョブ。好き。


一件落着後は、原作担当のカラーが色濃く出た贅沢なエピローグも必見です。二人の面白アホアホ男子ぶりとイチャラブに癒やされます。やはりハピエンこそ王道ですね。




さて、男性作家さんの描かれるBLってこんな感じになるんだ……と思ったところで、続きは次回に譲ります。

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