真野魚尾（まの・うおお）です。百合であったり、薔薇であったり、心の園芸を嗜む者です。

同好の士以外に対しては慎みを持って振る舞うべきと自らに言い聞かせつつ、以下はあくまで真野の独り言です。

本テーマでの初回は、初心者にも受け入れやすいよう、コメディを中心にセレクトしてみました。

◆『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』豊田悠

魔法使い＝触れた人の心が読めるようになってしまった安達と、同期のエリート社員・黒沢とのラブコメ。コメディなので取っ付きやすいのと、関係の進展を丁寧に追っているのがポイントです。

一見して完璧イケメンな黒沢ですが、心の声が安達愛に溢れている＝うるさすぎるのが笑えます。自作曲まで歌い出した日には笑いが堪えきれません。本人は至って真面目なのですけどね。

一方で男性同士の恋愛、そして結婚に至る過程までもが真剣に描かれていて、心の中の藤崎さん（二人の同僚♀）がキュンキュンしっぱなしです。安達の親友・柘植と年下のお相手・湊くんの今後も気になります。

◆『巨乳好きなのにBL界に転生しました』尚月地

オタクがイケメン（攻）に転生してモテモテ……ただしそこはBLの世界！　ムダに高い画力（失礼）と、それ以上に冴え渡るギャグセンスの波状攻撃に抱腹絶倒必至です。

ゴリマッチョな受との関係も何気にエモくて「あれ？　何でこんなアホみたいな漫画（失礼その2）で泣いてるんだろ……？」とたまに我に返ります。欲望に忠実な主人公ですが根は義理堅く、情に厚いところに好感が持てます。

サブキャラも一人残らず濃ゆいです。ヒロイン♀も（本性に目をつぶれば）美少女ですよ……？　楽しく読み進めているだけで、いつの間にかBL用語に詳しくなっているオプション付きです。

ちなみに、BLあるあるネタと言えば――

◆『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男』紺吉

自分がBL世界のモブだと気付いた主人公が、事あるごとに立ちまくるフラグを回避しようと力を尽くすコメディ。ありとあらゆるBLシチュが矢継ぎ早に押し寄せて来ます。非常に造詣が深く、読み応えも充分です。

――という先駆者もいらっしゃるのですが、内容的には割と上級者向けな気がします。普段からBL漫画やゲームを嗜んでいる方向けの副読本として挙げておきます。

上記3作品は連載中（2023/08/26現在）ですが、完結済みの作品もお一つご紹介します。BLそのものではありませんが、少し変わり種の入門書としておすすめです。

◆『咲くは江戸にもその素質』沙嶋カタナ

舞台は何と江戸時代。いにしえの若き淑女たちが衆道談義に花を咲かせます。そのターゲットは『南総里見八犬伝』。解釈違いを巡る論争も巻き起こしつつ、仲良し三人娘たちの友情の行方にも注目です。

今回は以上です。タイトルに「(1)」と付いているように、今後「(2)」もある予定でおります。とはいえ、真野自身さほどその道に通じているわけではないので、次の「ドラマ編」で一旦閉めるつもりです。

最後に――「こちら側」へ踏み出すのを躊躇していた方、もし背中を押してしまっていたらごめんなさい。豊かな園芸ライフをお送りできるようお祈りいたします。

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