真野魚尾（まの・うおお）です。百合漫画を嗜む者です。

完成度の高い商業作品は素晴らしい感動を与えてくれますが、一方で作者の好みや癖（へき）が如実に反映された同人誌にもまた別の味わい深さがあります。

そこで今回は、真野がここ数ヵ月に読んだ百合系同人誌の中から、お気に入りの作品や作者様をピックアップしてみました。順不同です。

◆『もっと！ふたりエスケープその3 長崎でエスケープ編』田口囁一

商業誌で完結済みの日常系ゆる百合『ふたりエスケープ』の続編。顔がいいだけの無職先輩とポンコツ漫画家後輩に再会できるのが嬉しくて堪りません。その1とその2は本編エピソードのベースになったお話＋おまけ。すし太郎～。

◆『結局そんなきみが好き』樫風

『ロンリーガールに逆らえない』和奏×結菜の後日譚。過去の悲しみが癒えて、幸せな未来に踏み出している和奏を見られて良かったと感じられます。でもやっぱり結菜が上手（うわて）なところも良き哉。ちなみに彩花と空も友情出演しています。

◆『雪に椿』ななせ悠

各WEB媒体で質の高い読み切りを掲載されている作家さんです。本作は大正～昭和初期の雰囲気漂う悲恋物ですが、この他にも様々な作風で描かれています。どの作品も描写力が素晴らしく、世界観の解像度が高いのにも感激します。

◆『ちいさい百合の花束』紙魚いりこ

ギャル×地味子、理系女子×スポーツ女子、猫系先輩×犬系後輩の短編集。とにかく絵が可愛い！　カラーの色使いやタッチも綺麗、表情も豊かで見ているだけで癒されます。そのうち病気にも効きそう。他作品もまとめてオススメします。

◆『ルーム・フォー・ハニーズ』(1)(2)犬井あゆ

『定時にあがれたら』『今日もひとつ屋根の下』など商業でも活躍の社会人百合の名手による、過去作のブラッシュアップ版。生真面目会社員とほんわかカフェ店員の出会いは、心情描写が自然かつ丁寧で物語にすんなり入り込めます。

◆『あの頃の青い星』(1)～(5)蟹

Kindle￥0!?　無料のレベルじゃない！　序盤に描かれる両片想いの、好きだからこそ踏み込めないもどかしさがとても自然で繊細。4巻#11夏祭りの雰囲気が鮮やかで好き。矢印が互いに向き合う瞬間の美しさこそ百合の醍醐味。

◆『田所さんエッチ編』TATSUBON

商業連載『田所さん』のエッ……というかタイトルそのままです。両想い全開イチャラブに定評ある作者様、渾身の一冊。紆余曲折ありつつ結ばれた二人が想い合い、求め合う姿によかったねぇと滂沱。リバありは新鮮。

◆『うみと人魚ヒメ』(9)萠田まく

身体だけ人間になってしまったジュゴンのヒメと飼育員海美（うみ）との異色百合。中身が好奇心旺盛な動物のままなので騒動必至。可愛い二人の関係の行方が気になります。主従逆転な身長差も何気に萌えポイントです。

◆『ギャルとぼっち3』朝日夜

商業連載していた『ギャルとぼっち』番外エピソードなどを収録。本編からして恋愛的な百合ではなく、青春群像劇の色合いが濃かったですが、本作もそちら寄りの内容。作者にとっての本作やキャラたちの大切さが伝わってきます。

このところBLの話題が続いていたので、今回のように初心に返って（？）百合も取り上げていきたいですね。

次回テーマはまだ決まっておりませんが、当エッセイ今後の更新はおおよそ週一回を目安に続けて参りたいと思っています。引き続きお付き合いよろしくお願いします。

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