21. 遅筆作者の速筆術【番外編】

真野魚尾(まの・うおお)です。小説を書いています。


……とは第1回で申し上げましたが、今回タイトルにあるように、真野は非常に遅筆です。


しかも集中力が散漫なので、複数の作品をあちこち少しずつ書いて回り、結果ちっとも進まないのが常態化しています。


そんな真野の執筆が実際どのように進められているかというと、おおむねこんな感じです。




◆普通に書く場合


① プロットや設定の載ったアウトライナーを用意します。

② ①を確認しつつ、推敲しながら書き上げます。

③ 気が済むまで全文を推敲します。

④ 気が済むまで校正をかけます。

⑤ 完成!




上記はあくまで理想です。小説サイトに登録する前、書き溜めをする時間が充分にあった時期ならばともかく、連載をいくつも抱えている現在、そんな余裕はとてもございません。


「時間がない……でもこの話は今日明日中に書き上げたい」

そんなときに実行する速筆法をここに公開いたします。


(おそらくはすでに以下の方法で執筆されている方もいらっしゃるでしょうが、一応の参考までに)




◆プロットがある場合


① プロットをエディターにコピー&ペーストします。

② なぞりながら推敲します。

③ ざっと校正をかけます。

④ 完成!




◆プロットがない場合


① 脳内ストーリーを頭から最後まで箇条書きにします。

② なぞりながら推敲します。

③ ざっと校正をかけます。

④ 完成!




◇注意点


①の段階で最後の一文を書ききるまで推敲は絶対にしないこと!




どんな方法を取ったとしても作者にとって「妥協」は常に手の届く所に、「満足」は届かない場所にあります。

真野にとって作品の『完成』とは、「妥協」と「満足」の間にある『納得』を掴み取る行為だと思っています。


というわけで真野的執筆術、これにて終了です!




  *  *  *  おまけ  *  *  *




真野魚尾のアウトライナーより

『マレビト来たりてヘヴィメタる!』第1話プロット公開


※詳細は本編と異なる場合がございます。なお、重大なネタバレは伏せ字(■)にしてあります。


なお、けん=主人公、みお=ヒロイン、かおる=献慈の初恋の人(片想い)です。




―――― 引用ここから ――――



序章

あやまち色の追憶

 → Misplaced Childhood / MARILLION


橘の匂ふあたりのうたた寝は夢も昔の袖の香ぞする / 藤原俊成女

 および本歌

五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする / 読人知らず(伊勢物語・古今和歌集)

 → 橘=追憶(花言葉)・澪自身、五月は作中の季節、昔の人=馨


香り(匂い)はこの先も重要なファクター、プルースト効果


日本の大正時代のイメージを中心に

遅れている部分(インフラなど)は明治時代ぐらい、馬車・人力車、都市部に路面鉄道

逆に魔導によって発達している機械などは昭和初期ぐらいでいいかも

でも農村なのであまり大正浪漫感なっしんぐ……


冒頭:ボーイ・ミーツ・ガールのバリエーション

80年代風「ある日突然主人公の少年の前に異世界から半裸の少女が降ってきました」的エブリデイ・マジックへのねじれたオマージュ→「地面から全裸の少年が生えてくる」


この序章で献慈が〝■■〟であることを示唆

キーワード:■■■■、■■■、■■■■→セリフの中に散りばめる


1「霹靂の騎手」:新星暦1889年5月1日(新月の翌日、午前中)


1-1 ワツリ村・鎮守の森

気がつけば空を見上げて寝転んでる献慈、ここは夢の中?

幸せが空から舞い降りてくる――なんていうけれど。

澄んだ青い空。

たなびく白い雲。

丸くて大きなお尻。

献慈(お尻…………えぇえええぇ――――っ!?)

舞い降りてきた。

いきなりでっかいお尻が顔面騎乗、額にのしかかる重厚感、澪との衝撃的出会い

澪「いつの間に……どこから現れたの?」とイムガイ語で、この時点ではまだ言葉が通じていない

澪は剣術の自主稽古中で袴姿(行灯袴)、背が高い黒髪美人であるととりあえず認識、献慈に心理的余裕がないので細やかな描写は避けるが「16歳の男子としては平均的な自分よりも上背がある」と年齢・性別が読者に明かされる

献慈、混乱状態で自分の素性を口走る→ここで入山献慈の氏名も明かされる

澪うろたえまくって話聞いてない? 実は↓

献慈、自分が素っ裸であるのに気づくも不用意に澪の方へ接近

澪びっくり仰天、手ぬぐいを投げつけ木刀を構える(手ぬぐいには〝篝火〟の店名がプリントされている――が当然この時点では読めない。伏線っちゃ伏線か?)

献慈、手ぬぐいで下半身隠す……が「のっぴきならない事情により急激に布面積が不足」

必死に謝罪連呼、連続で頭を下げる動作は無意識に激しさを増し、ヘッドバンギングを髣髴とさせるほど

澪「もう無理! あっち行ってえぇ!」まだ通じていない

献慈よくわからないままスタコラサッサ「最悪の悪夢だ」

澪なんか叫んでる「ふじこふじこ! そっちじゃない!」後半なんとなく言葉わかりかけてるが混乱しているうえたぶん気のせいだろうとスルーする献慈、見事に方向音痴の本領発揮、迷子に



―――― 引用ここまで ――――



【参照】


◆マレビト来たりてヘヴィメタる! ~鋼鉄レトロモダン活劇~

https://kakuyomu.jp/works/16817139558812462217


★第1話 霹靂の騎手

https://kakuyomu.jp/works/16817139558812462217/episodes/16817139558812519598

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る