8話 由奈とエピローグ

由奈

 数日前。


 事故のニュースを見た少女が思い出に浸る。長い時を思い続けた相手がやっと見つかった。急いで部屋に戻り私服に着替えるとパソコンを起動させた。事故の場所は? 病院は?


 記憶の中にだけ居たお兄ちゃんをやっと探す事が出来た。当時の事は朧げで幼かった少女に探す術などなかったのだ。喜びと不安が入り混じった複雑な気持ちが溢れ出す。自分だと分かってくれるだろうか、と。




 

エピローグ


優斗

 病院の出口で高校生くらいの女の子が立っていた。駆け寄って来て優斗に抱き着く。


「お兄ちゃん」


「えっ、えっ」


 何が何だか分からない。戸惑っていると。


「ひどいのじゃ。忘れるなんて」


 優斗の顔に驚きと喜びが広がる。少女が頬をぷくーと膨らませる。


「由奈、か」


「うん」


 笑顔が広がる。美幼女は立派に美少女へと成長していた。八年と言う歳月は彼女にとってどれだけの時間だったのだろう。のじゃ語りは思い出してもらう為にわざと言ったそうだ。今は普通に。それでも、時折幼女だった時の面影を優斗に見せていた。


 二人が付き合うのにそれほど時間は掛からなかった。




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いかずちと夏の嵐 神原 @kannbara

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