まだ堕ちてない!

「あ、うぅ…」


頭がボーッとして体が重い…

おかしい、眠っていたはずなのに何故こんなにも体が疲れているんだろう。


「イタッ…」


特に腰あたりが筋肉痛のようで…


「うぅ、リサさんめぇ…」


思い出した。

急にキスしてきたと思ったら、私に対してあんな事を…!


「犯罪、犯罪です…」


そういう事をするなら同意を取れ!

いや、同意を求められても困るし、絶対に断ってたけど…でも最低限は必要だよね?!


散らかっていたはずの部屋は魔法を使ったのか普段通り綺麗なまま、空気も澱んだりはしていなかった。


「よいsーー」


水を飲みに行こうとベットから降りようとするが、脚に力が入らずベットに倒れ込んでしまいました。


「立てないです…」


魔法も使えないし、どうしよう…


「大丈夫かエイラ!」

「あっ、リサさん…」///


なんか恥ずかしい!


えっ、どうして?

いつも通りで、少し気まずかった筈なのに顔が赤くなる。


「立てないか、私がもってこよう何が欲しい?」


私を一回抱き上げてベットに優しく寝かせてくれた。


「お水が、欲しいです…」

「わかった。

それと体温が高く汗をかいていたが、具合でも悪いのか?」

「だ、大丈夫ですから!」

「そうか。」


パタン


リビングに降りて行った。

ダメだ、何故かリサさんと同じ部屋にいるとドキドキして冷静になれない。


原因は間違いなく夜のアレ。


「私、どうしちゃったんでしょう…」


いや、どうしちゃったも何も、私は聖女の在り方と違ってある程度この感情が何なのか想像はついてる。


それは、『恋愛感情』


あー、落ち着いて落ち着いて!

実は根拠はあるんです。


普通なら夜のアレを無理矢理された時点で相手に怒りを覚える、だが聖女の在り方は勿論のこと私まで怒りは一切無かった。

ムカムカしたような感覚はあったが怒りとは程遠かった。


それを踏まえて考えると、リサさんにされる事は嫌では無かったと言う可能性が出てくる。


だが!

私は絶対に認めない、というか認めたくない。


「バシッと言ってやります。」


私はリサさんのことが好きじゃない、もう辞めてくれってハッキリと言ってやる!


ガチャ


扉が開く、絶対にハッキリ言ってやるぞ!


「水と軽く摘めるように果物を持ってきた。」

「ありがとうございます。」///


おい〜!


何故そんなに赤くなる聖女の在り方!

さっきまでハッキリ言ってやるって燃えてたじゃん、リサさん見た瞬間に掌ひっくり返すの辞めない?!


「腕は動くか?

もし無理なら私が口移しでーー」

「う、動くから大丈夫です。」///


ダメだ、聖女在り方に引っ張られて私まで冷静じゃなくなってる。

恥ずかしいというか、リサさんがカッコよく見えるというか…


「お腹は空いているか?」

「まだ、大丈夫です。」

「しかし、なるべく早く食べなくてはこれから体力が保たないぞ?」


ん?


「あの、体力が保たないって…」


嫌な予感がする。

それはもう取り返しのつかないような予感。


「今日も楽しむからな。」

「もうやりませんよ〜!」


リサさんは1回超えたら止まれなくなる人だったとは…

でも伝わったみたいで申し訳なさそうな顔をしていた、なんとかなるっぽい?


「気絶させてしまって反省している、次からは手加減してもっと甘くしようと思う。」

「???」

「具体的にはーー」

「説明しなくて良いですから!」///


そこじゃないよ!

しかも甘くするってどうやるつもりだ。


「それで食べなくていいのか?」

「そうですね、やっぱり…いや、グラタンが食べたいです。」

「わかった、作ってこよう。」


私は天才かもしれない。

グラタンという作るのに時間がかかる料理を頼んで、リサさんが作っているうちに逃げる。


完璧な作戦。


「ゆっくり休んでいてくれ。」

「わかりました。」


絶対に逃げてやる、寝かせてもらえないし辞めてくれないアレをまた体験するなんて嫌だ。


リサさんが部屋から出て扉が閉まった。

何処に逃げるか、それが重要。


あ、逃げる場所無かった…


いや待て諦めるのはまだ早い。

家の中に隠れるのはすぐに見つかるだろうし、出来るとしたら籠城とか?


扉の前に椅子とかを良い感じに設置すれば開けられなくなるはず。


腕も脚ほどではないにしても軽く筋肉痛、壁に手をつけて体を支えながらゆっくりと立ち上がる。


「いーち、にーい…」


掛け声と共に1歩ずつ歩く、リサさんの使っていた椅子を片手で少しずつ移動させて扉の前まで運ぶ。


「よいしょ…」


開けた時に突っ張り棒のように引っかかる所へと置く。


「ふふ、私の勝ちです…!」


今日は間違いなく、気持ちよく寝られる。

安心したからか眠くなってきた、少し眠ろうかな…


「おやすみなさい…」


ゆっくり休めるぞー!


「……」zzz





「なんだこれは?」





ーーーーー



ジャラ…


懐かしい音が聞こえた気がする。


「エイラ〜、そろそろ起きてくれ。」


夢の中でもリサさんの声が聞こえるとは、聖女の在り方にも困ったものだ…


「ふむ、確か眠り姫は王子のキスで目覚めるのだったか。」

「お、起きてます…

ごめんなさい。」


目を開けたら、最近は見ることの無かった暗く光の無いリサさんと目が合った。


「謝らなくて良い、私の気持ちが伝わらなかったのだろう?

これから教えてあげる。」


あぁ、終わった…


普通に考えて、魔王と対等に話せるぐらい強いリサさんに椅子1つで勝てるわけなかったんだよね…

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転生聖女様 目に光が無い女騎士の奴隷にされる ノツノノ @pannda1617491021

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