頑張る魔王様 4

ヤァ!

私、会議をサボってエイラのところに遊びに行ってたのがバレちゃった魔王。


「次の議題です。」

「え?!まだあんの?」


既に会議の時間は4日間を突破している。

此処にいる魔族達は交代で休憩を取るのに、私は魔王様だからって休憩0。


いくら魔法の指輪のおかげで不眠不休で活動できるとはいえ、この期間ずっと会議に参加は疲れるよ。


あぁ、あの後リサは幸せな時間を過ごしたんだろうなぁ…


それに比べて私は…


「となっております、土地の浄化は順調に進んでおりますがアンデットが大量に湧き出ている為なかなか進行が難しくなっております。」

「戦力は?」

「下級から最上級まで数え切れないほどわいております。」


アンデットとかいう臭い奴等の話をしてる。


「そこで最上級アンデットを魔王様に討伐して欲しいのです。」

「やだ。」

「嫌じゃありません、やりなさい。」


この野郎…

私魔王だぞ?いいの?粛清しちゃうよ?


「わかった。

会議終わってから1週間後な。」

「えぇ、それで構いません。

次の議題です。」


終わらないのかよ!

あ〜、ダル…


コンコン


「魔王様方、リサ様がいらっしゃいました。」


ん?何故今?

てっきりもう今回の会議には来ないと思っていたんだが。


「入れろ。」

「畏まりました。」


扉が開き入ってきたリサはどこかツヤツヤしていた。


「遅れてすまなかった。」

「いや、別に良い…」


そんな事よりナニをした?!


まて、落ち着け私。

冷静に考えればナニをしたかなんてすぐにわかる、問題はどこまでいったかだ。


「…どこまでいった?」

「一通りは楽しんだ。」


無表情でそんな事は言うなよ…

もっと顔を赤くしたりして焦ってくれよ、なんか悪いことしたみたいな気持ちになるだろ。


「楽しかったか?」

「あぁ、魔王には感謝してもしきれないよ。」

「そうか…」


何かを悟ってやがる。

1人だけ良い思いしやがって、私は休憩無しで会議だったんだぞ?


「エイラは生きているか?」

「もちろんだ、今頃疲れ切って寝ていると思うぞ。」

「そんなにか…」


いいなぁ…


「ゴホン、会議を続けても?」

「あぁ、始めてくれ。」


痺れ切らした部下が強引に会議に戻した。

議題は先程のやつより変わって、リサが関係する議題に変わっていった。


裏切る可能性が高い者は粛清し、人間であるリサを受け入れた者しか居ない会議は平和的に進んでいく。


「聖女の引き渡しに関してですが…」


そう、この議題が出るまでは。


「は?」


会議室の空気が凍った。

どことなく部下達の顔色が悪く見える。


「早く説明しろ。」

「は、はい。

実は聖女が欲しいと言っている魔族の権力者が数名いまして、今回どのように黙らせるかを決めようと…」


おい、馬鹿野郎!

そんな奴は会議するまでもなく粛清だ、じゃないとリサが敵対するかもしれんだろ?!


誰だこんな議題を通した奴、お前はわかってるはずだろ?!


「名前は?」

「え?」

「その魔族の名前を聞いてるんだよ。

安心しろ、エイラを狙う変態は私が黙らせてきてやるから。」


その変態の中にリサ自身が入ってるのでは?


「魔王?なんか言ったか?」

「いいえ、何も。」


それと黙らせる手段もきっとこの世から消すんだろうなぁ…


「…この議題を出したのは3名、うち1人は…」


進行を担当していた部下が1人の魔族を見る。

おいおい嘘だろ?まさか議題を出した奴の1人がこの会議室に居るの?


「お前か?」

「あぁ、そうだ。」


この命知らずが!

馬鹿なの?わざわざお前如きが逆立ちしてもう勝てない四天王との模擬戦までやってもらったのにまだ理解してないとは…


「撤回する気はない。

魔王様に認められ、俺自身も貴方が魔族の勝利に貢献したと認めている。

だが聖女が生きているのはーー」


グシャ!


おーう、スプラッタ…


「これでまた綺麗になったな。

それであとの2人、名前だけじゃなく何処に居るかも教えてくれたらありがたい。」

「こちらの紙に書いてあります。…」

「どうも、じゃあ会議続けててね!」


エイラで楽しんだおかげか機嫌が良くてよかった。

もし機嫌が悪かったら間違いなく凄惨な拷問からの蘇生ループだった。


「馬鹿な事をやった奴は誰だ、まさか貴族じゃないだろうな?」

「はい、そこそこ影響力を持つ商人です。

後数ヶ月で貴族になる予定でした。」

「危な!」


魔族は実力主義。

どんな力でも強ければ、孤児からでも貴族になれる機会はある。

なんなら私の魔王という座を狙って決闘も挑まれたりしてる。


平和になったおかげか、自らを高める事に時間を使うようになり競い合う事も増えている。

問題として競い合いではなく争いになりそうな事があったこと、人類という共通の敵が居なくなったのが原因だ。


人類が足を引っ張り合い負けた部分を見てきたというのに、我らが魔族もその道を歩もうとする…

全く嘆かわしい。


「魔王様、もう一度圧倒的な猛者としてデモンストレーションをしては如何でしょう?」

「効果的か?」

「はい。圧倒的な強者として未来永劫、魔王様が君臨する為には必要な事かと。」


だけど私は魔王だ。

魔族が間違った道へ進もうとするならそれを正す、それこそが私の存在する理由。






まぁ偶にエイラの所で癒されるぐらいは許されるだろう?

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