「あれ、ハヤトくん。銃所持してるの珍しいね。何かあったの?」
「え、あぁ……いや。別に物騒だから気になって」
意識を失ってから正直な話し覚えてない。だが、いつの間にか俺の隣には“アイツ”の姿がなかった。
「悪い、具合悪いから席は外すわ」
俺はそうクラスメイトに言い席を立つと講義が始まるチャイムが室内に鳴り響くも保健室ではなく、屋上へ続く階段に足を運ぶ。すると、ブツブツと聞き覚えある声。
「この人は用済み。このコはまだか。で、コイツは観察中と」
そっと覗くと茶封筒を手に書類を捲る同級生の姿。俺の気配に気づいたのか顔を上げては「よっ同士」と軽く手を上げる。
「んで、賛成派になった気分は?」
嫌な問いかけに俺は沈黙を貫くも小さな声で「悪くはない、かな」と認めたくはないが認めざる終えなかった。
アパートにあった書類。
あの隅に“ある文字”が書かれていたのを――。
俺は見逃していた。
【死刑権解放同盟】。
それは“反対者”を強制的に“賛成者”にする。
政治団体の“移住”と名乗った“勧誘”だった。
死刑解放都市 無名乃(活動停止) @yagen-h
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