わんちゃんたちのファッションショー

 昨今の犬は服をよく着る。

 その用途は様々である。

 飼い主の自己満足みたいなものもあるが、それだけではない。実用性という面で服を着ていることも多々ある。


 とうの昔に野生を捨てた彼らは案外暑さ寒さに弱い。

 まぁ、暑さに強かろうと現代日本の暑さはもはや耐えられるレベルではないし、毛皮があってもやはり冬場は寒いのだろう。

 私は暖房が嫌いで、基本的につけない。

 家の中はかなり寒く、犬たちはちゃんちゃんこを着て転がっている。

 外でも実家とカジン実家から貢がれたおしゃれ服を着て歩いている。

 ドッグランで見かける他の子たちもおしゃれで、見ていて飽きない。


 夏はクーラーをがんがんにつける。そうしないと、犬たちがへばってしまう。外出時間にも気をつける。ただ外は比較的涼しい時間であってもなかなかの暑さである。それに「まだ遊びたいのです!」という太郎丸(仮名)の一声(注1)によっては、暑い時間帯にかかってしまうこともある。

 それゆえ、ひんやりスーツみたいな服を着せる。

 水をかけると、気化熱で涼しさを保つアイデア商品である。

 これのおかげで太郎丸(仮名)も次郎丸(仮名)もごきげんだ。

 とりわけごきげんな太郎丸(仮名)はエビ(注2)をはじめる。

 水分を多分に含んだ服を身にまとって、それも砂地の上で。


 「必殺! 泥の鎧マッドメン! 水を含んだひんやりスーツは砂を泥へと変え、ボクの身体を覆う!」

 満面の笑みでこちらに突進してくる太郎丸(仮名)、うん、汚い。とても汚い。

 太郎丸(仮名)が飛ぶ!


 やめてぇー。とりあえず帰ったら一緒に風呂な。


(注1)なお、次郎丸(仮名)に決定権はない。

(注2)エビについて、詳しくはこちらを御覧いただければ幸いである。「エビ: 脇締めとエビ」『御痴走帖』https://kakuyomu.jp/works/16817330657029655846/episodes/16817330658919657009

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