第9話 実技授業
マナに右腕を治してもらってから1週間が経った。学園での授業も始まっていたが、初回はオリエンテーションが多かったから割愛する。
今日から本格的な授業に入る。基本的に午前中は座学、午後から実技といった形で進められる。
座学に関しては、ゲームの知識を持つ俺に今更新しく学ぶようなことは無いため、退屈な時間だけが過ぎていった。
そして午後になり、実技の授業が始まる。実技の最初の授業は、ゲームだと模擬戦イベントなんだが・・・
「実技の授業を担当するサイラスだ。今日から実技の授業を始めるが、俺はお前たちの実力を詳しく知らない。だから、今日はお前たち同士で模擬戦をしてもらおうと思う。それぞれ自由にペアを組め。」
筋骨隆々でスキンヘッドの男教師、サイラスがゲーム通りのセリフを言う。
(さてと、ゲームではここでルキヤが主人公に絡むところなんだが、今の俺は無理に絡むつもりもないしな・・・)
「ルキヤ君、一緒に組もうよ!」
「なっ、お前っ!?」
そう声をかけてきたのは、まさかの
(確かに俺はクロエ以外と組もうとしていたが、まさかこいつから誘ってくるとは。やはりシナリオの強制力が働いてやがるな。だが!)
「お断り―――」
「お、首席入学のルキヤと第4席のクロエか。面白い、そこで組め。」
断ろうとした俺に割り込んできたサイラスが、勝手にペアを承認してしまう。
(あんのハゲぇ!勝手に決めてんじゃねぇよ!)
もちろん口には出さないが、とりあえず頭の中で罵倒しまくる。
「いや〜ルキヤ君と組めて良かったよ。次席のクローディアさんは第3席のアイゼナ様と組むみたいだし、自分より格上の人とやるならルキヤ君しかいないからね。」
そう言われて周りを見回すと、確かにもうペアはほとんど決まっているようで、そこには睨み合っているクローディアとアイゼナの姿もあった。ちなみに第5席のマナは、回復系の魔法がメインのため、今回は参加せず負傷者の治療を行うことでサイラスに実力を見せることとなっている。
マナと目が合うと、彼女は嬉しそうに微笑んでこちらに手を振ってくる。俺は慌てて顔を背ける。
(まずいな、あの日からマナのことを自然と意識してしまっている自分がいる。)
「よし、それでは模擬戦を開始する。最初は
首席入学者のルキヤと第4席のクロエだ。2人とも前に出ろ。」
そう呼ばれて俺とクロエは訓練場という、円形で周りには観客席も付いている場所。例えるならコロシアムのような所の中央に出る。そして、俺とクロエが向かい合う。
「レベル差的に、今の僕がルキヤ君に勝てるとは思っていない。でも、見せてもらうよ。僕が目指すべき高みを!」
「・・・ふん。お望みなら見せてやろう。絶対に越えられない壁というものを!」
(やべぇ、この強敵ムーブ結構楽しい!)
俺がそんなことを考えているなんて誰も想像出来ていないだろう。皆、この戦いを真剣に見ている。
そして、俺と
___________
《作者コメント》
面白い、続きが気になる方はぜひ☆とフォローをお願いします!
♡や誤字報告、感想などもいただけるととても助かります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます