第4話 邂逅



2ヶ月ぶりの更新ですので、前回までのを読み返してもらうのを推奨します。改めてよろしくお願いします。



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終始塩対応で去っていった隠しヒロインのクローディア。ゲーム本編との性格の差に少し違和感を感じたが、今はまだ登校中だ。違和感について深く考えるのは後でいいだろう。


そして俺は婚約者のアイゼナとなぜか未だについてきている聖女マナと共に校舎に足を踏み入れた。


さすがは旧王城。おそらく校舎の中も以前のものをそのまま使用しているのだろう。ゲームで使われていたまんまの光景に少しだけ心が踊る。


このノーシアス学園はSクラスからEクラスまであり、成績順にクラス分けされる。入学試験の成績がトップの俺はもちろん、ゲームに関わってくる主要キャラのほとんどがSクラスだ。ということで早速Sクラスの教室に向かおうとしたのだが


「薄汚い平民の分際でSクラスだと?伯爵家の次期当主である俺より上のクラスでいいわけないだろ!」


そんな怒号が聞こえてきた。気になって声のする方に向かってみると、そこには数人の男子生徒が1人の生徒を囲っている姿があった。状況的に、貴族生徒が平民生徒をいじめている最中だろう。



見たところどちらもゲーム本編では見たこともないモブのようなので、ここで平民生徒を助けたとしても問題は無いだろう。まぁ、貴族派トップのメルギア家の子息であることは常に意識しないといけないから、平民の肩を持つ気は無いが。



「伯爵家ともあろう者が、見苦しいな」


「なんだと!俺が伯爵家の人間だということを分かっていながら文句いいやがるなんて...え!?」


不躾に声をかけた俺に怒りを向けながらこちらを振り返った自称伯爵家次期当主だが、俺の顔を見た瞬間顔が真っ青になっていた。


(ふむ、確かこいつの家は貴族派だったな。そりゃ俺のことも知ってるわけか)


「ル、ルキヤ様!?ど、どうしてこちらに?」


「なに、俺もこの学園に入学したんだ。ここに居てもおかしくはあるまい。まったく、父上の傘下の貴族にこんなみっともない真似をするやつがいたなんて。」


「も、申し訳ありません!二度としませんのでどうかお許しを!」


「ふん、ならとっとと失せろ」


取り巻きを連れて速攻逃げ出す彼らの後ろ姿を見送り、俺は何も無かったかのように再び教室に向かう。その時、助けた平民生徒が声をかけてくる。


「あ、ありがとうございます!」


「勘違いするな。俺はお前を助けた訳では無い。貴族派トップの家の者として、やつの行動が見過ごせなかっただけだ。」


そう言い、俺は振り返ることなくその場を去る。


(くぅ〜言ってみたかったセリフが言えたぜ〜!)


なんて心の中で思っているなど、誰も分からないだろう。


全て分かってますよと言わんばかりのアイゼナとマナの温かい視線に気付かないふりをして今度こそ教室に向かう。


「いや〜先越されちゃったね」


そこでまたしても後ろから声をかけられる。


(おい!まだ教室にすら入ってないのにイベント多すぎだろ!)


なんてツッコミながら振り返る。そこに居たのは


「お、お前は...」


「はじめましてだよね、ルキヤ君。僕はクロエ。今代の勇者だよ。」


地味であまりパッとしない容姿だが、不思議なオーラを放つ青年。


(前世で何度も見てきた。今更間違えようもない。こいつこそゲーム本編の主人公だ。)




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《作者コメント》

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