第12話 魔法の才能/悪の矜恃
この世界における魔法は、「炎よ」などの
もちろん無詠唱なんて物もあるが、これはレベルを上げるだけでは意味が無い。幾度となく同じ魔法を使い続け、自分の体に、魔力に覚えさせる必要がある。そうして極めた者は、脳の伝達だけで魔法を放つことができる。
マーリン師匠の説明は、ゲームの知識と変わらないものだった。マーリン師匠の稽古は、最初は座学から始まったが、それはゲーム知識の復習のようなもので、あまりにも理解力が高すぎる俺に、師匠は早々に座学を終え、実践形式の稽古に移った。
元神童と呼ばれていただけあり、俺は基本四属性全て、火・水・風・土と、希少属性である聖と闇の六属性に適性があった。これには師匠もおどろいていたが、俺のステータスは最低。どの属性も初期魔法以外使うことが出来なかった。まぁ二年間も使い続けたから全て無詠唱で使えるようになったが。
そして覚醒した今、再びマーリン師匠と相対す。師匠も覚醒した俺の力を試すのが楽しみだったようで、普段よりもワクワクしていた。
(ふふっ、師匠のオリジナル魔法にはいつも驚かされてばかりだったからね。今回は師匠が驚く番だよ。)
心の中でそう言い、俺はスキルを発動する。
「っな!?その力はいったい!?」
ここまで取り乱した師匠は初めて見た。今はただ、自分の成長が素直に嬉しい。
▼
覚醒から数日後、俺は一人で深夜の王都の裏路地に来ていた。住んでいるメルギア領から少し離れた王都に来たのは、本来のシナリオを修正するため...いや、違う。責任を果たすためだ。
「やだ、やめてよ!誰か助けて!」
路地裏に響き渡る少女の悲痛な声。しかし、誰も彼女を助けようとはしない。深夜だと言うのもあるだろうが、その少女が屈強な男たち四人に囲まれているのが大きいだろう。
「お前たち、何をやっている!」
そこに声を聞いて駆けつけた衛兵が現れ、男たちに魔法を行使しようとする。だが、男の一人が鈴のような物を鳴らすと、衛兵二人は苦しそうに倒れる。
「き、貴様ら。いったい何を...」
「こいつは魔封じの鈴。ダンジョンの奥地で見つけたレアアイテムさ。効果はその名の通り相手の魔力を封じる。故にお前たちは今魔力欠乏症を起こしているのさ」
そう言い放ち、少女を連れ去ろうとした男たちの前に、俺が立ちはだかる。
「その子を連れていかれては困るな。今すぐその子を解放し投降するなら、痛みは与えず詰所に突き出すだけで済ませてやるが?」
男たちは急に現れて不遜な態度をとった俺に一瞬だけ惚けると、笑い出す。
「ハッハッハ!ヒーロー気取りのガキが、そこに倒れてる衛兵が見えないのか?剣を持っていないということは魔法使いなんだろう、ならそこに転がっている奴らと同じじゃねぇかよ!」
「あ゛あ゛?てめぇ、今なんつった?俺がヒーロー気取りだと?ふざけんなよ、俺は悪だ。もっとも、てめぇらみてぇなクズではねぇがな!」
こいつらは俺の逆鱗に触れた。俺は悪であることを誇りに思っている。
(こいつらは許さねぇ。ヒーロー共なら少し痛めつけるだけだろうが、俺は悪だ。徹底的にやってやる。恐怖のどん底までたたき落とすことで、貴様らへの罰としよう。)
スキル発動『
さぁ、せいぜいこのチートスキルの実験台になってくれ、ゴミ共。
___________
《作者コメント》
次回はチートスキルの内容が明らかになります!明日の7時に更新予定です!
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