第8話 政略結婚(純愛)
《ルキヤ・メルギア視点》
「結婚してください!!!!」
(はぁ!?えっ!?どういうこと!?
ルキヤって王女と初対面じゃなかったのか!?)
俺は焦って前世の記憶ではなくルキヤの記憶を探る。
(もしかして、四年前に会ったあの女の子がアイゼナ王女だったのか?確かに同じ金髪だけど...まじか、主人公に出会うよりも前に彼女はルキヤに会っていたのかよ。)
ゲームの裏設定を知れて嬉しいが、いきなりプロポーズしてきた彼女は、今や天を仰ぎ放心状態になってしまっている。父上も「後は若い者同士で」なんて言ってすぐに部屋を出てしまった。
「ええっと、とりあえず座りませんか?」
気まづい雰囲気を何とかするために俺が声をかけると、彼女は我を取り戻したように慌てて座った。
(さすがメインヒロイン。仕草がいちいち可愛いなちくしょう。)
対面に座ってから、俺が話し始める。
「それで、先程の結婚の件ですが...本気ですか?」
「もちろんです!四年前のことを覚えていますか?」
心配そうな顔で問いかけて来た彼女に、俺は微笑みながら頷く。すると彼女も嬉しそうに微笑んだが、顔を赤く染めて俯いてしまった。
(まぁ、昨日まで部屋の外には全く出ていなかったんだ。出会う女性は母上かメイ、使用人くらいだったから、ルキヤも忘れていなかっただけだろうな。)
「それなら良かったです。あ、敬語はいりませんよ。あの時のように普通に接してください。私はこちらの方が楽なのでこのまま進めますが。」
彼女は顔を上げて話し始めた。
「ところで...いつ公爵様と仲直りしたんですか!?なんで性格までかっこよくなってるんですか!?あと私と結婚してください!!!」
いきなり饒舌に喋りだした彼女に俺は唖然としてしまう。
(あれぇ?この子ってこんなキャラだったっけ?もっとクールで頼れる女性って感じだったのにどうしてこうなったんだ?ていうかまたプロポーズされたし)
「一つずつ答えるよ。父上と仲直りしたのは昨日。理由はまぁ、父上の優しさに気づいたからかな。性格に関しては、歳をとって大人になったってことだよ。最後の件については、あの時君は「アイゼナとお呼びください!!」...アイゼナは、俺をこの家から連れ出すって言ってくれたね。でも、
思っていることを全て伝えて、アイゼナに視線を向ける。しかし、彼女は微笑んでいた。
「公爵様と和解できたのですね、本当に良かったです!それと、心配しないでください。ルキヤ様...いいえ、ルー君がメルギアを捨てる必要はありません!」
(いやサラッと変なあだ名つけないでくれよ!っていうかそれって...)
「私が公爵家に嫁入りすればいいんです!!」
「はぁ!?絶賛敵対中の王権派のトップと貴族派のトップの結婚とか、国王様が王権派の貴族からめちゃくちゃ非難浴びせられそうなんだが!?」
「確かにそうです。ですがそれは、ルー君が王家に婿入りした場合です。そうした場合、貴族派のトップが政治の中心に入り込んできたとして、非難は避けられないでしょう。
ですが、私が嫁入りすることは、王権派からすれば貴族派のトップの動きを監視できる、というふうに見えるわけです。貴族派の当主たちは、噂通りの悪事を働いている訳では無いし、事情も知っているので、公爵家に非難が来ることはないと思われます。
どうですか?お父様と考えた結果、これが最善だと思うのですが。」
「なるほど、よく考えられている。反論の余地もないね。つまり、王家が貴族派を牽制するための政略結婚っていうふうになるんだね。」
「その通りです。まぁ、本当は政略結婚ではなくただの純愛、恋愛結婚なんですがね!」
そう言って笑う彼女を、俺は見つめながら思った。
(王権派の貴族には今回の縁談の件を話しているだろうし、外堀完全に埋められてんじゃねぇか!国王が直々に来てるのに断れるやつなんか居ねぇよ!)
「あ、あの。私との結婚はそんなに嫌なのですか?」
彼女を見つめながら苦しい顔をしていると、少し泣きそうな顔をして問いかけてきた。
(くっそ可愛いなこんちくしょう!嫌なわけないだろ!こちとらオタクなんだよ。ヒロインとの結婚とか夢だったわ!いや、でもアイゼナは主人公のヒロインとして出てくるし、本当にいいのか?これでゲーム本編の流れが変わってしまったらどうするんだ?)
「...分かった。結婚はまだ先だから、婚約者としてよろしく頼む。」
そう俺が告げると、アイゼナは泣きながら抱きついてきた。
彼女の温もりを感じながら、俺は決心した。
(この選択が正しいのかは分からない。だけど、この手をとった以上、俺は絶対にアイゼナを守る。彼女を愛しながら、主人公も救ってみせる。全く、いきなりのハードモードだが、やってやるよ!)
___________
《作者コメント》
この作品のフォロワー様が100名を超えました。
いつも応援ありがとうございます!今後も頑張って更新続けるので、応援よろしくお願いします!
面白い、続きが気になる方はぜひ☆とフォローをお願いします!
♡や誤字報告、感想などもいただけるととても助かります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます