第5話 予期せぬ来訪者



原作のルキヤはとても顔が整っている。外出が少なかったため肌は色白く、漆黒の髪と深紅の瞳が特徴的な絶世の美少年だ。原作では内気で穏やかな性格だったから分からなかったが、深紅の瞳で睨まれると、睨まれた者は恐怖を感じるだろう。と、鏡を見ながら私は思った。






家族と和解した翌日、私は部屋で妹のメイに本を読み聞かせていた。現在五歳のメイは純真無垢で、私と同じ優しい子だ。家族との関係が上手くいってない時でも、メイは私に甘えてきた。そんなメイが可愛くない訳もなく、私は全力で甘やかしていた。当時の私はメイだけが家族と思っていたほどだ。


「にーさまがとーさまたちと仲直り出来て、メイはすごーくうれしいのです!」


「メイにまで心配をかけていたなんて、本当にごめんね」


私は膝の上に乗っているメイの頭を撫でながら言った。


「えへへっ。メイたちは家族なのであたりまえですっ!」


くっ、天使か!?私の悪感情が浄化されてしまう!グハッ!


なんて心の中でふざけていると、急に扉をノックする音が聞こえる。父上が来たようだ。


「ルキヤ、縁談が決まったぞ。今からだ。先方がもううちに押しかけてきていてな。」


「えっ?募集かけたの今日の朝ですよね、まだ半日も経ってないのにもう来たんですか?」


「ああ。私も驚いたのだが、どうやら前々からお前のことを狙っていたらしい。まったく、俺が知らない内にお前はいったい何をしたんだ...」


「そう言われても、私は屋敷からほとんど出てないので、他人との交流は全く無いのですが」


一瞬脳裏に同年代くらいの少女が浮かび上がってきたが、名前も知らないし不確かな記憶なのですぐに思考から消した。


「にーさま、結婚するのですか?」


メイが不思議そうに問いかけてくる。


「結婚じゃなくて婚約だよ。まぁ、大人になればその人と結婚するから間違いではないけどね。メイに新しいお姉ちゃんができると思ってればいいよ」


頭を撫でてあげると、メイは目を輝かせて


「メイに、ねーさまができるのですか!?やったー!メイ、ねーさまに甘えるのが夢だったんです!」


なるほど、メイの夢か。なら、最高の姉になれる人物か、私が見極めようではないか!












私は今、頭を抱えている。

私の目の前には、金髪碧眼の美少女が微笑みながら座っている。



なぜ...なぜ、お前がここにいる!







メインヒロイン

アイゼナ・クロイツ第二王女!!!





___________

《作者コメント》

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