第4話 やるべきこと



さてと、今の私は11歳。ゲーム本編の学園が始まるのが15歳からだから、私は今の最弱の状態から、四年で完璧な悪役にならなければな。


とりあえずやるべきことをまとめてみよう。


一つ目、家族であるメルギア公爵家と和解し、仲を深めよう。まぁ、この家の人たちは私のことを愛してくれているし、私も愛を持って接すれば問題ないだろう。



二つ目、レベルを上げる。これは最優先かな。弱すぎる悪はただの小者にすぎない。せめてルキヤの覚醒条件であるレベル30までは行きたい。父上と和解したら指南役を頼んでみるのがいいかもな。



三つ目、私の学園用の派閥作りなんだが...これが一番難しいな。以前の私は貴族派全体を好いていなくて、パーティーなどの誘いを全て断っていたからだ。今更派閥に誘ったりしてもあまりいい顔はされないだろう。それでもメルギア公爵家の名があるからきっと集まって来るのだろうが、やはり信頼出来る仲間の方が良い。


どうしたものか...


そうだ、婚約しよう!

社交的で、交友関係が広い女性を嫁に迎えよう!まだ四年もある、十分信頼関係を築けるだろう。まあ、ゲームに関わってこないモブの女性の知識は無いし、これも父上に頼んでみるか。


よし、大体の方向性は決まったな。では、早速父上の所に行くか。






前世の知識を頼りに、私は広い屋敷を歩く。ようやく辿り着いた父上の執務室の扉を叩く。


「誰かね」


扉の奥から威厳のある声が問いかけてきた。


「父上、私です。ルキヤです。」



「...入りなさい」


「失礼します」


「そこに座るといい」


私は父上が指した対面のソファの片方に座り、反対側に父上が座る。


「お忙しい中申し訳ございません。」


「構わないさ、ルキヤから訪ねてくるなど滅多にないからな。」


「では、早速要件を。

単刀直入に言います。今まで父上...メルギア公爵家に対し、あからさまに嫌悪感を持った態度で接してしまい、誠に申し訳ございませんでした。」


「???」


突然の事で父上は状況を理解できていないようだが、それでも私は言葉を紡ぐ。


「今までの私は、貴族派が本当に国家転覆を狙っていると思い、父上たちの説明を聞こうとせず、勝手に閉じこもってしまっていました。しかし歳を重ね、冷静に考えてみると、私の判断は間違っていることに気がつきました。そして改めて私の過去の行動を振り返ってみると、恥ずべきことばかり。これまでの御無礼、誠に申し訳ございません。もしお許しいただけるのであれば、今後はメルギア公爵の子息として、立派な貴族になるために精進致します。」


私は全て言い切り、父上の言葉を待つ。


「...そうか。いつお前に本当のことを告げようか迷っていたのだが、まさか自分でその答えに辿り着くとはな。そもそも俺は怒っていないさ、幼い頃の思想は成長しても変わらない。お前は昔から優しい子供だったからな。俺を怖がったり嫌悪するのも無理はない。貴族派として生きる...本当に良いのだな?後戻りはできないぞ。」


「ええ、覚悟は出来ております。」


「いい顔だ。俺はお前を歓迎しよう。」


「ありがとうございます、父上」


「うむ。それで、俺にまだ話があるのだろう?言ってみろ。」


「父上には敵いませんね。私からお願いが二つあります。一つ目は、剣術と魔法の指南役を用意をお願いしたいです」


「ほう、それはもちろん構わないぞ。最高の指南役をつけてやろう。それで、二つ目は?」


「婚約者を見繕って欲しいのです。」


「なるほど、たしかにちょうどいい時期だしな。分かった、お前が何と言うか分からなかったから今まで縁談の話は受け付けてなかったのだが、明日から受け付けるようにしよう。」


「では、声を掛けてきた方の中で、身分が高く一番社交的な方との縁談を組んでくださると助かります。」


「なるほど、学園での派閥のためか。分かった、とびきりの女性を見繕ってやろう。」


「感謝します。では、私はこれで」


私が退出しようとすると、父上が声をかけてくる。


あいつにも声をかけてくるといい。あいつが一番心配していたからな。あと、今日は皆で食卓を囲むとしよう。」


そんな優しすぎる父上に、私は笑顔で答える。


「喜んで!」







その後、母上にも父上にしたような謝罪をすると、泣きながら抱きしめてくれた。本当に最高の家族だよ、うちは。










《???side》


「メルギア公爵家次男、ルキヤ・メルギアが婚約者を募集中!?うふふ。待っていてくださいね、ルキヤ様!」







___________

《作者コメント》

次回、ヒロイン①出てきます。

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