第2話 異世界転生
強烈な頭痛によって私は目を覚ました。
「ここは一体どこなんだ?病院...という訳でもなさそうだな。」
思い当たった可能性の一つを、ベットがキングサイズであることと、自分が寝ていた部屋の8倍はあろうかというほどの大きさの部屋により思考から消す。
故に考えられるのは、会ったことの無い母方の祖父が超大金持ちだったとか、或いは...いや、現実逃避はやめておこう。だって、鏡に映った俺の姿は、紛れもなくクソゲーこと『New World Story』に出てくる、主人公の親友キャラ。
ルキヤ・メルギアであったのだから。
すると、いきなり何人かが部屋に入ってくる。全員見覚えはある。ゲームで見た人達だ。
父親であるメルギア公爵、母親であるメルギア婦人、長男のロイド、妹のメイ、そしてメイドのルル。皆が心配そうな顔でこちらを見てくる。
「体は大丈夫なのか?ルキヤよ。食事中に急に倒れたから心配してたのだぞ」
「申し訳ございません父上。頭痛はつい先程良くなりました。体の方もなんら問題はありません。」
俺がそう告げると、みんなが安堵するように息を吐いた。
「そうか、それならば良い。お前からしたら我々の存在を鬱陶しいと感じているのだろうが、それでも我々は家族なんだ。今度ゆっくり、今後のことでも話そうじゃないか。ルル、後はメイドの君に任せたよ。」
父上は悲しそうな顔で立ち去る。その背中に俺は
「えぇ、是非に。」と、笑顔で声をかけた。
一瞬だけ父上の体が揺れ動いた気がするが、そのままみんな立ち去った。
そして残ったのは青髪のメイド、ルル。確か侍女の学校を首席で卒業した後、すぐにメルギア公爵からスカウトを受け、働き始めたという設定だったと思う。
「ルル、悪いが記憶に不備がないか確認させてくれ。相当キツい頭痛だったものでな。」
「私が答えられることなら全てお答えします。」
「問は一つ。ルル、この家で働き始めて何年目だ?」
「来月で1年になります。ええっと、それだけでしょうか。」
「あぁ、記憶に不備がないことが確認できた。すまんな。」
約一年か。学校の卒業は18歳で統一されているから、彼女は今19歳。何度も読み直した公式資料によると、ルキヤとルルの歳の差は8。つまり今のルキヤは11歳。15歳から始まる本編、学校生活まではあと4年もあるのか。
「ふふっ、ふふふふ。」
おっといけない。自然と笑みがこぼれてしまった。いや、それも仕方ない。だって、俺がずっと夢見ていた展開が、現実のものになったのだから。
最高のキャラに最高の家系、そして最高の舞台。全てが揃っている
魔王という名の絶対悪を倒すために、私は完璧な必要悪になってやろうではないか。
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《作者コメント》
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