第35話 ライトノベルって、なんなの?<9>
<7>に書いた、ライトノベルの定義は『1990年の初めころに、PRGゲームから派生した剣と魔法と勇者とダンジョンをテーマにした小説に対して名づけられた』という説が正しければ……。
カクヨムも含めた小説掲載サイトとは、30年昔にライトノベルの読者だった10代~20代の若い人たちが、月日を経て大人となり、過去を懐かしみつつ自分も小説を書いてみようと集まっている場所ではないでしょうか。
そのように考えれば、カクヨム利用者に男性が多いことも平均年齢が高いことも説明できると思います。
また「この小説、ほんとうに中高校生が読むのだろうか。これはどうみても、おっさんが通勤電車の中でスマホで読んでいるだろう」と思う小説が多いことも。
小説を書くということは、難しいものです。
頭の中のアイデアを文字を使って形にするには、ある程度の人生経験と語彙が必要です。
狭い世界にいる自分のありようを尖らせて書けばよい純文学と違って、エンタメ系は意外と社会常識がないと書けません。魔法と剣の世界でも、世界観に膨らみや奥深さを持たせようとすると、言葉遣いや物の名前やその他いろいろと社会常識が必要となってきます。
作家にはある程度の人生経験と社会経験が必要です。
そしてライトノベルを書いている女性について。
これもまた男性と同じ現象が起きているような……。
中華ファンタジーを書いている私が言うのもなんですが、天然ボケお目々ぱっちり少女と若いイケメン皇帝のラブラブなお話をおばさんたちが書いて、そして読者もかなりの歳のおばさんたち。
深く考えればちょっと気持ち悪ささえ感じる奇妙な世界ではありませんか?
実際の中高校生たちは、「しかたがないなあ~~」なんて、醒めた目でそういう親たち世代を見ているのかもしれませんね。
最後に、今まで『ライトノベルって、なんなの?』というテーマでだらだらと書いてきたことをまとめます。
昔のライトノベルの定義から外れて、いまのライトノベルは、使い勝手のよい便利な小説サイトとテンプレで書ける世界観を手に入れた、おじさんおばさんたちの楽しい遊び(交流)の場です。
そしてたぶん、そういう小説サイトを運営し賞を設けて書籍を発行している出版社も、それを知って儲けの手段としているはずです。
しかしながら残念なことに、おじさんおばさんのライトノベルを書くという遊びは、最盛期を過ぎていまは廃りに向かって下降している最中と思われます。
70歳を過ぎた私は、いろいろなものの流行り廃りというものを見てきました。
流行り廃りにいいとか悪いとかはありません。
流行っている間は、みんなでその中に身をおいて楽しむものです。そしてそのうちに廃れていく寂しさを味わって、また次に流行るものに身を任せる。
その繰り返しです。
さてさて、今後、ライトノベルを含めた<小説>というものが、時代の流れに乗ってまたまた変貌していくのか。それともおじさんおばさんを夢中にさせるまったく新しいものが流行るのか。
そしてそして、それを見るまで、私は生きていられるのでしょうか。(笑)
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