第30話 ライトノベルって、なんなの?<4>



 前回の<3>の続きとなります。


「ばあば、お勧めの本はない?」と孫に聞かれて、白川紺子さんの『後宮の烏』阿部智里さんの『烏に単は似合わない』上橋菜穂子さんの『鹿の王』と、私が中華ファンタジー小説を書くために集めていた本を渡していったのですが。


 あっ、そうだった。


 白川紺子さんの『後宮の烏』は、中華ファンタジー小説に使われる語彙を学ぶために初めの数巻にカラーマーカーで印を入れていたのですが、「読んでいて気が散る」と孫に言われて、買い直しました。(涙)


 話が横道に逸れてしまいました。


 ところで、『後宮の烏』や『烏に単は似合わない』以外にも、私はライトノベル系の中華ファンタジー小説を何冊か持っていました。


 それらは、書店でキャラクター文庫コーナーに並べられているものです。


 表紙のカラー絵に若くてイケメンの皇帝と大きな目ぱっちりの可愛いくて天然ボケふうの少女が描かれていて。


 その内容はだいたい薄幸の少女が自分では役に立たないとおもっていた才能で若い皇帝を助け、そのうちに彼らは相思相愛となるというお話です。


 孫に「ばあば、お勧めの本はない?」と聞かれて、たぶん、私はそれらの本も孫に見せたと思います。


 しかし当時中学生だった孫は興味を示さず。


 その後も、孫といっしょに何度も書店に行きましたが、そういう本を手にとる孫を見たことはありません。


 そもそもがそういう本を売っているコーナーで本を探している女子中高校生の姿を見かけたこともありません。


 私には同じ年頃の女の子の孫が3人いるのですが、私にお勧めの本を訊いてきた孫以外はコミックを集めるのに夢中です。


 それも『進撃の巨人』とか『鬼滅の刃』とか。


 最近ではこの春より中学2年生となる孫が『葬送のフリーレン』を買っていました。


 孫たちが異世界ものであれ現実の学園ものであれ、ベタな恋愛ものコミックを買っているのをみたことがありません。


 ただし、『進撃の巨人』『鬼滅の刃』『葬送のフリーレン』が、ライトノベル系のコミックであるかどうかは、それらのコミックを読んでいない私にはなんとも言えないのですが。


 ただベタな恋愛ものでないことだけは確かなようです。




 またまた横道に逸れた話をもとに戻します。


 孫に上橋菜穂子さんの『獣の奏者』を買って帰った夜、祖母と娘と孫で「ライトノベルって、なんなの?」という話題に花を咲かせたわけですが。


 そのときに私が娘に「今ごろの女子中高校生はベタな恋愛をテーマとした小説やコミックを読んでいない気がする」と聞きますと。


「いまごろの女子中高生は『いつの日か、白馬の王子様が現われて見染められ、自分は幸せになる』なんて甘い夢は見ていないのでは。


 中学も高校も受験勉強一色だよ。

 大学に行けば、就職活動が待っているし。


 昔のように女の子が働くのは結婚までの腰かけという考えは持てない時代だから」


 という、娘の返事でした。




 ……となると、あの書店のキャラクター文庫コーナーにある、イケメン皇帝とお目々ぱっちりのいかにも天然ボケふうな少女のお話は、いったい誰が読んでいるのでしょう?


 

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