第22話 マイクラとスローライフという世界観<2>
いま、ライトノベルで異世界ファンタジーといえば、スローライフをテーマにしたものが流行っているようだ。
「ようだ……」と書くのは、小説そのものは読んだことがないので。
カクヨムで抜群に人気のあるスローライフが漫画になったものを、お試し無料ページで読んだことはある。それでライトノベルのスローライフというものがどういうものであるのかは知っているつもりなのだが。
まずは、誰も住んでいないような場所に転移する。
そのために、一番初めにすることは、畑を耕し家畜を飼って食を確保することだ。
そのうちに木を切り倒して家を建て、だんだんと生活必需品も手作りする。
冒険をしているうちに村を見つけて、村人との交流も始まる。
昔々に読んだ『十五少年漂流記』『ロビンソン・クルーソー』みたいなもののようだ。
ここでふと思う。
カクヨムでスローライフを書いている若い人は、『十五少年漂流記』や『ロビンソン・クルーソー』なんて、知らないし読んだこともないだろうなと。
そうすると、カクヨムでスローライフものを書く作家さんたちの元ネタはなんなのだろう?
そうそう、孤島に漂流するといえば、トム・ハンクス主演の映画『キャスト・アウェイ』があった。面白くて2度観してしまった。
おお、だんだんと錆びついていた記憶が蘇ってきた。
貧しい暮しの少年が家出して洞窟で犬とともに暮らすという、実話をもとにしたNHKのテレビドラマもあった。これは古い昔話ではなくて、戦後の日本でのこと。
そうだ、第二次世界大戦の終結を知らず、フィリピン・ルバング島のジャングルで孤独に30年籠った小野田寛郎さんの話もある。
ああでも、これも、いまの人にはちょっと古い情報だなあ。
それに、この2つは実話であることや無人島が舞台ではないこともあって、社会や人との関わりに残酷さも垣間見えて、ほのぼのスローライフとはちょっと言い難い。
そうそう、本や映画やドラマだけではなく、こういう設定のTVゲームもいくつかしてきたなあ。
ゲームの名前は思い出せないけれど、舞台は大海原の孤島ではなく、さすが時代を反映して宇宙船が不時着した惑星だったりする。
スローライフの元ネタっていうよりも、人というものは、もともと、衣食住を自分なりにあれこれ工夫して孤独に暮らすという設定が好きで憧れもあるのだなあと思う。
そういえば、都会の暮しから離れて田舎に移住するというのも、いま、老若男女を問わず人気があるらしい。
テレビでは、『ぽつんと一軒家』というのも人気だ。
それから私のような年金で暮らす高齢者の間では、『年金〇〇円で、工夫して心豊かに暮らす』というテーマの本やブログが流行っている。
これらもある意味ではスローライフに違いない。
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