第19話 さようなら、山田さま!<1>
なんとなんと、このエッセイの初回でご紹介した山田さまのページが消滅していた。
初めはこんな変なエッセイの題材にしてしまったので、拒絶されて、山田さまのページに私だけがアクセス出来ないのかと思った。
心臓が跳ね上がってしまった。
でもいろんな方法を試しても、山田さまのページは見られないので、やはり、山田さまはカクヨムから去られたのだと思う。
私がご無沙汰している間に、カクヨムを去るご挨拶はあったのだろうか。
それともご常連さんも驚きの突然の消滅だったのだろうか。今となっては確かめようもない。
私は書く歴もネット歴も長いので、仲良くしていた仲間がある日突然消えてしまうという経験はたくさんしている。
顔を合わせて語らい合っていた仲間は、住所も電話番号も知っているので、連絡の取りようもある。ある日突然にということにはならない。
でもやはり「私、小説を書くのを止める」宣言は、いつまでも虚しさを引きずってしまうほどの、辛いものがある。
だが、ネットの世界では、ある朝、パソコンを立ちあげて知るということになる。
これは心臓がきゅっとなる。
私の対応に失礼なことがあったのだろうかと考えたりして、心の整理に時間がかかる。
しかし、人というものは何ごとにも慣れていくもののようで……。
「新しい活躍の場所を見つけられたのか。それとも、小説を書くこと以外の新しい楽しみを見つけられたのか。まあ、どちらにしても、新しい世界の扉を開けて、そちら側に一歩を踏み入れられたのだ。こんなに喜ばしいことはない」
そう自分に言い聞かせて、その方との思い出をさっさと消去する技を身につけた。
しかしこの考え方は諸刃の剣でもあって、相手もそう思ってくれるだろうと自分にも甘くなる。
私も一緒に夢を追っていた仲間たちに対して、いろいろと失礼なことを重ねてきている。傷つけてしまった方々に対して、本当に、申し訳ないと思う。
しかしだ……、……。
申し訳ないという感情をいつまでも持っていられるほどには、私の人生の残された時間は長くない。
若いときは粘着気質だった私だが、最近は気持ちの切り替えが速い。
もしかして、これは、歳をとって身に着く、いいことの1つではないか。
最後に。
山田さまのあの独特の口調の毒舌に触れて、「私も、人生の最後のエッセイに、山田さまのような毒舌調の本音を書いてみたい」と思った。
それで書き始めたこのエッセイだ。
さようなら、山田さま。
そして、ありがとうございました。
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