第18話 そうだ、時代劇小説&ドラマに親しもう!<6>


 気がついたら、昔々の思い出話にばかりになっている、この『そうだ、時代劇小説&ドラマに親しもう!』。いったい私は何が書きたくて連載を始めたのだろうと、初めから読み返してみた。


 そうだった、<1>に書いていた。


<今回は、『そうだ、時代劇小説&ドラマに親しもう!』ということで、中華ファンタジー小説における会話内の尊敬語と丁寧語ついて、蘊蓄を傾けてみたい>


 ……ということで、なんとか結論を出して、今回の『そうだ、時代劇小説&ドラマに親しもう!』は、今回の<6>で終りとします。




 別のエッセイでも書いたような気がするのだけど。


 ライトノベルで中華ファンタジー小説を読み始めたころ、皇帝が自分のことを「おれ」と言っているのに、とても驚いた。皇帝は<朕>だろう。<朕>を使いたくないであれば、せめて<余>とか……。

 

 皇帝が自分のことを「おれ」と言うのは、ライトノベルを書くにあったての決まり事なのかと、一時期、かなり本気で考えた。


 でも、その後、いろんな中華ファンタジー小説を読み漁っているうちに、「作者も読者も、もしかしたら<朕>という言葉も<余>という言葉も知らないのでは……」と、気づいた。


 そして、ライトノベルの中華ファンタジー小説の登場人物たちの会話文では、仲間に対しても目上のものに対しても、言葉遣いが同じだ。


 これもまたライトノベルの決まり事なのかと思っていた。

 でも、気づいた。


 若い書き手の人は、そもそもが、相手によって言葉遣いを変えることができるほどの、尊敬語とか謙譲語とか丁寧語を知らないのではないか。


 会話文においての尊敬語・謙譲語・丁寧語の書き分けは、身分制度の厳しい時代を舞台にした物語に味わいというか 深みを与える。


 それと、皇帝が「おれ」というのは、ライトノベルでは許されても、たぶん、一般文芸への応募では難しいのではないかとも思う。



 ちょっとうまく纏めることができないのだけど。


 <6>まで長々と書いてきての結論は、中華ファンタジー小説を書くのであれば、時代小説に親しんで尊敬語・謙譲語・丁寧語を身につけるといいかもということです。




 最後に……。


 しかしながら、尊敬語・謙譲語・丁寧語に、あまりにもこだわるのもまた難しい。


 以前に観た華流時代劇ドラマの日本語字幕で、後宮の妃の言葉としての<こなた><そなた>はちょっと馴染めなかった。


 尊敬語・謙譲語・丁寧語を、どこまで歴史的雰囲気を匂わせながら、今の時代に沿わせるか。


 難しいことではあるけれど、中華ファンタジー小説を書くものとしての腕の振るいどころというか、自分の文体の個性の追求と考えれば、これもまた面白いことかも知れない。





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