第17話 そうだ、時代劇小説&ドラマに親しもう!<5>



 私が初めて時代劇というものに触れたのは、父に連れられて映画館で見た『赤胴鈴之助』か、もしくは『遠山の金さん』だ。


 いまネットで検索すると、2つの作品ともに、ちょうど私の小学校前後にシリーズ化されて上映されていたようなので、確かな記憶だと思う。


『赤胴鈴之助』の映画の内容はまったく覚えていなのだけど、テーマソングの軽快なサビの部分が65年過ぎても、いまだに頭の中に残っている。


『遠山の金さん』もまた、白い砂が敷きつめられたおしらすに散る桜の花びらが、フルカラーで頭の中に残っている。



 ついでに書くと、母に連れられて観た映画は、市川雷蔵の『眠狂四郎』と『風と共に去りぬ』とオードリー・ヘップバーン主演の映画。


 特にオードリー・ヘップバーンの『尼僧物語』は子どもの私にはあまりにも退屈で、映画館で大騒ぎして、母は泣く泣く途中退席したらしい。


 どうしてよく覚えているかというと、のちにテレビで放映されて、「あっ、これ、観たことがある!」ということで、記憶の繋がりが強固になってしまった。

 



 話が横道に逸れるけれど、我が家にテレビが来たのは、小学3年生のとき。


 電気屋さんが据え付けの終わったテレビのスイッチを入れると、『チロリン村とクルミの木』という人形劇が画面に映し出された。あのときの衝撃と嬉しさは、いまでも鮮明だ。


 昭和20年代生まれのものは、テレビに代表されるように『家電製品が、初めて我が家にやってきた日』というものを多く経験した。


 私は転勤族の家庭で生まれ育ち、1~2年ごとに引っ越しを経験した。それで、新しい家と環境が絡んでの『家電製品が、初めて我が家にやってきた日』の記憶が、とても鮮明だ。


 おもしろい時代を生きてきたと思う。

 一番最近では『スマートフォン』が我が家にやってきた日かな。(笑)




 横道に逸れてしまった話をもとに戻します。


 私の父は時代劇が好きだった。

 テレビが我が家に来ると、一緒に並んで座って蘊蓄を聞かされながら、時代劇テレビドラマをよく観たものだ。(このころから、父と映画館に行った記憶がない)


 初期のNHK大河ドラマ『花の生涯』『忠臣蔵』を覚えている。

 どちらも画面は白黒だった。


 少し時代が新しくなって『鞍馬天狗』とか『銭形平次』とか『鬼平犯科帳』とか。

 (父といっしょにテレビを観なくなってからは、『木枯らしの紋次郎』『座頭市』などが面白かったなあ)


 そして時代劇が好きだった父の本棚には、吉川英治や大佛次郎の時代劇小説が並んでいて、私は、それらを小学生から中学生にかけて読破した。

 というか、父からの命令による強制読破だ。(笑)




 いま70歳を過ぎて中華ファンタジー小説を書き続けられるのは、子どもの頃に観たり読んだりして得た時代劇の知識のおかげだなと、最近、懐かしさとともに思う。


 



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