第12話 終活に励んでいます<4>



 老後の楽しみということで、カクヨムで小説を書くことと手芸とTVゲームのことを書いてきたが、最近、新しい楽しみを始めた。

 

 アクセサリーのリフォームだ。


 無人となった実家を片づけた時に、あちこちの引き出しからアクセサリーの類が出てきた。


 いいものもあるのだろうけれど、旅行のお土産として買ったと思われるブローチや数珠とか。「なんだか、懐かしいなあ」とよくよく見れば私が独身の時に身につけていたイミテーションものとか。


 まさに玉石混交。

 母は私と違って、物を捨てられられない人だ。


 それらを段ボール箱に放り込んで押し入れの片隅に積んでいた。しかし1年前に、それらの片づけにやっと重い腰をあげた。


 なぜに重い腰かというと、アクセサリーのリフォームにはお金と知識とセンスが必要だからだ。


 手始めに母の腕時計でやってみた。


 ネットで検索して商品価値を確かめてから、時計店で修理してもらった。そして、おそろしくお高いワニ革ベルトに交換したら、雰囲気のあるおしゃれアンティーク腕時計に大変身!




 この1年、冷や汗をかきながら、アクセサリー店からいま流行りの貴金属買取店までうろうろした。だがなぜか、売り払うにしろリフォームするにせよ、納得がいかず決心がつかない。


 そして、2か月前に、「ここだ!」と思えるリフォーム店を見つけた。


 その店は、いままで用事もないので足を踏み入れたことのない、老舗デパート宝飾品売り場の奥にあった。


 ベテラン店員さんから1時間をかけて、アクセサリーの査定・リフォームについて教えてもらった。「アクセサリーに本物も偽物もありません」という言葉がものすごく胸に刺さった。


 まずはお試しに、娘の希望にそってロングネックレスをショートネックレスとブレスレットにお直し。


 そのときの商品の受け渡しの丁寧さと慎重さに痺れた。


 それはそうだろう、アクセサリーというものは高価なものもあるし、かけがえのない大切な思い出の品ということもあるだろう。



 長々と書いてしまったが、このお店と店員さんを知ったことで、新しい小説のテーマを見つけてしまった。


『終活に励んでいます』もこの4回でお終いとして、書きかけの『銀狼山脈』の執筆に戻ります。そして完結したら、次は今回のことで得た知識をもとに、宝飾品をテーマにした『白い髪の少女』のサブストーリーを書きます。


 頑張ろう、私!



 ところで最後に、テレビで有名タレントを起用してCMを流しているある『貴金属買取店』。


 そこでメッキだと言われてしつこく売ることを強要された男もののごついデザインのリングが、上に書いたリフォーム店では「純金でしょう」と言われた。


「査定するにはきちんとした手順がありますので、これはあくまで、そのリングを偶然にちらりと見てしまった僕の感想です」だって。


 ほんと、おもしろい世界だ。






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