第10話 終活に励んでいます<2>



 71歳の私には、趣味と呼べるものが3つある。



 <カクヨム>で中華ファンタジー小説を書くこと。


 布や糸で雑貨を製作して(おもにポーチやバッグ)、お店で売ること。

「売るのだから趣味ではなく仕事だろう」と言われそうなんだけど、儲けがない時点で趣味だ。(笑) 


 そして、TVゲーム。



……と、いうことで、今回はこの手芸という趣味についての終活。



 もともと、若い時から、自分の服を縫ったり編んだりして、自己満足の世界で遊んでいた。それが、孫が生まれて、孫のものを作るようになると、作品が人の目に触れて褒めてもらえるようになった。


 そこで「もしかしたら、これって、欲しい人がいるんじゃないの?」と考え始めて……。


 おりしも手作りブームで、あちこちで<手作り市>が開催されていた。


 そういう時代の流れもあって、作品を委託するお店と契約して作品を納入すると、これがけっこう売れたのだ。


 ちょうど同じころ、地域のおばさんたち10人ほどの手芸クラブにも入会した。

 そこで学ぶことも多く、また縫い方などで、仲間たちからけっこう頼りにもされた。



 しかしブームというものは去るものだ。



 コロナ禍の影響なのか、それとも世間に飽きられたのか。

 手作りの布雑貨が売れなくなり、そのうえに昨年の暮れには、手芸クラブも会員の高齢を理由に解散した。


 それでこの1年ほど、私も縫うことと編むことへの意欲がなくなってしまった。しかし、手仕事をしなくなった私が呆けることを怖れた夫が、大反対。


 それで、楽しく続ける方法というのを、真剣に考えた。


 まず、30年近く使ってきたミシンを買い直した。

 これが、ジューキの職業用ミシンだから、かなり高価。


 そして、今まで溜め込んだ布地を処分して、憧れだったけれど高価で手の出なかったリバティの布地に買い替えた。


 新しいミシンときれいなリバティの花柄布地で、気分は一新。


 しかしながら、元をとるどころか、縫えば縫うほど大赤字!

 人生最後のわがままだと思うことにしよう。(笑)



 そうそう、私は縫い物をしながら<カクヨム>を立ち上げて、小説を書いたり、皆さまの書かれた小説を音声読み上げで楽しんでいる。


 以前は、縫い物や編み物で機械的に手を動かしていると、使っていない脳みその中で、過去の嫌な思い出がよみがえったり、将来の漠然とした不安が芽生えたりしていた。


 しかし、この縫いながら編みながら<カクヨム>を楽しむスタイルになって、そういうことがなくなった。


 精神的に明るい毎日を過ごしている。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る