第8話 三体Ⅲ(死神永生)



 中国の作家・劉慈欣さんが書かれた長編SF小説『三体Ⅲ(死神永生)』を、さんざん迷ったあげく(!)、先日、購入してきました。




『三体』は『三体』『三体Ⅱ(黒暗森林)』『三体Ⅲ(死神永生)』の全部で5巻の三部作。物語りの長さも大変なことですが、まだ文庫本になっていないので5冊揃えると金額的にもかなりです。


 最近は手芸用品を買わなくなったので、引き籠りお婆さんとしては金額のほうはなんとか趣味に使う小遣いの範囲として許せます。


 それでも、Ⅱまで読んでⅢの購入をためらったのは、あちこちでいろいろと書いてきたことだけど、物語りの世界にいまひとつのめり込めなかったこと。




『三体』、おもしろいです!

 もう一度書きます、『三体』、おもしろいです!




 でもでも、物語りの登場人物の一人に憑依してその世界観を楽しむという小説の読み方をしてる私には、その憑依したい人物が『三体』では見つからず……。


『三体Ⅱ(黒暗森林)』が、完結とも言える一応の区切りともなっていたし、それにハッピーエンドでもあるしで、まあここで読むのをやめてもよいかなと。




 ……と、半年ほど、ぐだぐだと悩みました。

 それでもすっぱりとあきらめきれなかったのは、<智子>のせいです。



 この智子の読み方、ソフォンであったりチシであったりします。


 陽子を11次元から2次元に展開させた原子よりも小さいスーパーコンピュータであり、(そこのあなた、理解できます?)、宇宙人の侵略兵器です。


 智子の感情というものを持たない絶対零度的無慈悲にぞくぞくします。



 映画『スターウォーズ』でダースベーダーが、たくさんの人が住む平和な惑星を、デススターを使って一瞬のうちに破壊しました。アニメ『ガンダム』のオープニングでは、宇宙に浮かぶ多数のコロニーが攻撃されて、地球に落ちてきます。


 だからそういうのを知らないわけではないのに、この<智子>の攻撃の様には、作家の筆力のせいもあって、唖然としてしまいます。


 その<智子>が『三体Ⅲ(死神永生)』では、日本の女性人名・ともことなって再登場。


 この女性型ロボットがいったい何をするのか、知りたいではありませんか!


『三体』では感情移入したい登場人物がみつからなかったのですが、なんとまあ、この感情を持たない智子に、私は唯一感情移入をしてしまいました。(笑)




 ところで、この『三体』。

 中国語の題名は『地球往事』であるらしいです。


『地球往事』であるほうが、ストーリーの中に多く挟まれる人類の歴史や故事などが、唐突感なく理解できます。


 小説の内容を知っている私は、『地球往事』が題名として相応しいと思います。

 しかしながら、初めて本を手に取る読者には『三体』のほうがインパクトがあるでしょうから、これは難しいところですね。




『三体』はドラマになりアニメになり映画化もされるそうです。


 すでにアニメの放映は始まっているようですが、残念ながら、いまの私のネット環境では視聴不可。でもいつかは観られるだろうと思うので、気を長く持って楽しみにしています。






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