雁首そろえて
荼八
雁首そろえて
病み上がり 咥えた煙草 咳こめず
次の辞めどき 来るなと願う
葉桜と 墓地の静けさ 通り過ぎ
雨の隙間も 畳めぬ傘と
暗幕で 遮る西日 射し込んで
幼き姿 反射する今
月光が 影を落とすと 吹く風に
揺らぐ炎と 紫煙はゆれて
澄んだ日の 刺す冷たさに 赤らむ手
軋むチェーンが また回り出す
蕣の 覗き込みさき 何処へやら
小さな花壇 色褪せる青
ワンルーム 呟く声が こだまして
抱き寄せる胸 無いものと知る
錦鯉 浮かぶ松の葉 深緑に
染まる境内 石段の音
高架下 歩く二人の 延びる影
重なる先は 違わぬ筈と
座椅子引き 近ずつ心 煮立つ鍋
窓の外には 酔いどれた声
若さとは 反比例にと 青春を
歩めど先に 進めずに居る
鳥の音が 今から寝るの 問い掛ける
手放す意識 迎える正午
明星が 登り始めた 夕下がり
開く扉に 振り向く笑顔
意識だけ 起きている様 一室に
吹き込む風は 湿気た匂いで
滑り台 へこむ金板 砂溜まり
剥げた塗装に 錆の赤さか
詰まる息 食事は鉛 宵越しの
過ち数え 痛む胸部と
拒絶され 思考が歪む 零時半
謝る先が 解らずにいる
何をした ただその問いが 苦しくて
悪気はないが 頭は上げず
どう言えど 逃れる先は 暗闇で
これが罰かと 学ぶ夜更けか
もうおわり 嫌な思考は おきざりに
それがだめだと 重ねる過ち
雁首そろえて 荼八 @toya_jugo
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