第8話 盗賊団①


「うっ、ここはどこだ」


 目が覚めると暗い部屋にいた。


「なんだこれ」

 

 見ると手錠と足枷をされていた。

 まぁこれくらの拘束ならすぐ外せるからいいんだけど、それよりもサラは大丈夫なんだろうか。

 俺が攫われるのは大丈夫だが、サラに何かあるのだけはまずい。

 

「しかし暗いな、これじゃなんにも見えないな」


 辺りを見渡そうにも真っ暗でなにも見えない。

 明かりは何か明かりはないか。

 そのときパッと部屋が明るくなった。


「なんだ起きてんじゃん」


 ドアの方を見るとさっきの兎族の男がいた。

 

「ここはどこだ?」

「え、ああここは地下だよあんたらの街の」

「地下?」

「うん、あんたらは知らないだろうけどあの街の地下は獣人街になってて、闇取引とかがよく行われてるよ」


 マジかよ街の地下がそんなになってるなんて知らなかった。

 つかさっさとここでないとサラが来てしまう。

 やるか。


「ふーんなるほどな、とりあえずその話は覚えておくとして、まずはここから出させてもらう」

「お、なんだよやる気か」


 俺がそう言うと男は半笑いでファイティングポーズをとった。

 こいつ舐めてやがるな、よしまずはその余裕から崩してやる。


「重力魔法発動ー重力反転」

「うわっなんだよ」


 重力反転、これは俺から半径3〜4内の重力を反転し天井や空と地面を逆さまにする魔法である。

 この魔法により若い男は天井に落ちていき、頭を思いっきり天井にぶつけた。

  

「くっそ痛えな、いきなりなにすんだよ、つかお前背中の傷は大丈夫なのかよ」

「問題ない、大抵の傷は受けた後すぐに治癒するから」

「おいおいバケモンかよ」


 さてとこれで少しはこいつも一体誰に喧嘩を売ったか理解できたかな。

 

「よいしょ」

『パキン』

「チッ、外せんのかよ」

「まぁこれくらいわけないかな」


 俺は動きやすくするために手錠と足の枷を力づくで解いた。


「さてサラはどこいにいる?」

「まだここには来てねぇよ、今ボスがあんたのこと含めて話に行ってる頃だよ」

「そうかならまだ時間はあるな」

「は?時間ってなんだよ」


 俺は基本やられたらやり返すタイプである。

 そんな俺にここまでしたんだ、こいつらにもやり返さないとバランスが悪い。

 てことで。


「これからお前ら盗賊団を壊滅させる」

「はは、なに言ってんだよお前、多少強いからってうちの団舐めんなよ、構成員100人越えでしかも人間なんか相手にならないくらい強いんだぞ」

「そうか、まぁでも勝てるだろ」

「なんだよその自信、てかそもそもレベルだって人間とは違って皆んな20超え……あれ、おかしくね?なんでお前人のくせにそんな強いの?」


 若い兎族の男は困惑した様子でそう俺に訊いた。

 現在、歴代で最もレベルの高い冒険者は公式では12となっている。

 これはつまり人のレベルの限界は12であるということ。

 獣人は基本レベルは人より高く、高い個体だとレベル70近くの者もいる。

 そんなわけで普通なら人は獣人に勝てない。

 だが俺は違う。


「俺さ、レベル100なんだよね」

「レベル100?そんなのいるわけないだろ」

「どうかな、重力魔法解除」

「やめろ、いきなりやるんじゃねぇ」


 重力反転を解除したことで、元の重力に戻ったため男はまた頭を強く地面に打ちつけた。


「痛えな」

「お次は、土属性魔法発動ー地盤崩し」

「な、やめろそんなことしたら」


 地盤崩しにより、土でできた床が崩れて俺と若い男は下に落ちた。


「なるほど、下はこうなってるのか」


 下は盗賊団の食堂のような場所だった。

 

「おいなんだよこいつ、上から落ちてきたぞ」

「七宝!お前までなに落ちてきんだよ」

「ご、ごめんよ兄貴達」


 食堂には兎族の男が10〜20人ほどいた。

 つかこいつ七宝って言うのか、覚えておこう。


「おいそこのウサギども、今からお前ら全員狩るから覚悟しろよ」


 俺がそう言うとそこにいた全員がこちらを強く睨んだ。

 さてとさっさと終わらせてサラを迎に行かないとな。

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開幕からレベル100?レベル平均5の世界で俺だけ強すぎる件について。 神崎あら @takemitsu

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