第3話物語の終局
青年と娘が結婚した五年後に、王は病死した。王の妻である姫は引退し、娘に座を譲った。青年が新たな王となった。
新たな姫は贅沢好きだった。すぐにパーティを開いて、買った宝石やドレスを披露したがった。
「少しパーティの回数が多過ぎじゃないのか?宝石やドレスだって買い過ぎだと思うぞ」
若き王は、そう言って窘めようとした。
「何言ってるのよ!父の言葉を忘れたの?私たち二人は一生幸せに過ごしたという、実績を残す義務があるの。私たちが揉めたり、暗い顔をしてどうするのよ!」
そう言われて若き王はハッとした。そうだった。もう少しで義理父の遺志に背くことになるところだった。
おれたち二人の物語は、子どもたちの間でも絵本となって読み継がれるのであった。一生を二人で幸せに過ごすという使命から逃れてどうする。若き王はつまらぬことで、妻を咎めた自分を恥じた。
王と姫が幸せに過ごせるように増税をしたので、民衆の生活は苦しくなった。いくら窮状を訴えても聞き入れてもらえないので、堪りかねて一斉蜂起しようとした者たちもいた。
だが事前に察知されて、首謀者は捕まった。
王は考えて、すぐに処刑することはしなかった。衆人が見物する中で、じわじわと拷問にかけて殺した。あまり苦痛なく殺してしまうと、ダメ元で反逆しようという輩が出てくるかもしれないからだ。
それに王も姫も、拷問の現場を見るのは楽しかった。すみません悪かったです、早く殺して下さいと最期の力を振り絞って言う声を聞くと、背中がゾクゾクした。夜の営みが一段と燃えた。二人とも幸せだった。
それからも反逆の疑いがある者は、処刑するか拷問するか、強制収容所に送った。
王の両親や引退した義理母も、やり過ぎだぞと生意気にも忠告してきたので強制収容所送りにした。殺したり拷問にかけなかったのが、せめてもの慈悲といえた。
二人の間に息子が産まれた。王は英才教育を施した。息子も立派な王となってくれることだろう。
二人は一生幸せに過ごすことができ、物語は無事に完了した。
伝説の物語 ぴろわんこ @pirobigdog
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます