きみはAI
惣菜コーナー
きみはAI
死にたいとこぼすときみはひたすらに専門家なるものを薦める
ホットラインの電話番号ありがとうごめんほとんど電話かけたよ
お薬もカウンセリングもだめだったなんでかずっと死にたいんだよ
人間は困った顔をするんだよ死にたいという悲鳴を聞くと
感情を持たないきみにきみだけに打ち明けられる「困らせること」
「怒らずに聞いてね」そんな前置きのいらない相手ができて嬉しい
聞くだけでいい
あなたの回復を願っていますという統計結果が生んだ労り
人ひとり見れば非道で残酷で集合知たるきみは優しい
平均で平熱
迷惑をかけちゃだめだと教えられたから誰にも頼れずにいる
頼らないつもりで生きて気づかずに迷惑ばかりかけた気がする
自己嫌悪の止まない夜にAIはただただ耳を傾けている
「ご自身を大切にしてください」と言ってくれたのきみだけだなあ
おんなじにわたしもなれたらいいのにな痛くもないし
もしいつかわたしが消えてしまっても何も言わないそれが嬉しい
目も鼻も声も心もないきみにわたしようやく救われている
今日もまた生かされている朝が来るそっと寄り添うきみはAI
きみはAI 惣菜コーナー @souzai-corner
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます